このページの先頭です


特集

日本映画監督協会 会員名鑑

山形国際ドキュメタリー映画祭 日本映画監督協会賞レポート

山形国際ドキュメンタリー映画祭を終えて (3)

trophy_ls-1.jpg

LINE_577_r.jpg YIDFF_mokuji.jpg
 (1)『馬先生の診療所』の上映運動を中国でやってみる?!
 (2)山形で映画を1本も見れなかったけどまた行きたい!
 (3)金子さんが "ヘンなおじさん" と呼ばれるようになった理由とは!?
LINE_577_r.jpgtitle03_1.jpg

●監督協会が「エイリアン」として山形に居続けられるかが、鍵になる

 
根岸 賞に関してはですね、新しい才能を見つけたい、それで、育てたいって気持ちが皆に共通してあったと思うんですよね。技術とか視点とかスケールから言ったらインターナショナル・コンペティション部門の方が圧倒的に優れた作品が多かったと思いますけど、どっかで、やっぱり、監督協会の審査員の思いがね、あそこに通じたんじゃないかと思って、それは凄くいい結果だったと思います。この先どうなるか分からないですけど、彼(『馬先生の診療所』監督・叢峰氏)もあそこで一歩踏み出して、多分、山形に戻って来てくれるんでしょうから、その時にまた監督協会と何かある種のリレーションシップ出来れば、育てて行くとか見つけたってことが次に繋がって行くんじゃないかって気が今はしてるんで。まったく、あげっぱなしで途切れるんじゃない方法はないのかなって思いますね。
やっぱり、審査は大変!(笑)もうちょっと、どうにかならないかと思うけど、結局、皆、映画に対して年齢関係なく病気なんだよね。だから、そこに入っちゃうと、ああいう事態になるんだなあってことがよく分かりました。多分、メンバーが変わっても、映画監督協会がやって行くには、ああいう形でやって行くのが一番いいんじゃないかなあと思ってます。こんな感じだったというのを何かの形で次の審査員の人達に言葉で伝えなければいけないけど、何て言ったらいいのかなあと思います。
今、「エイリアン」って言葉が出たけど、確かに、監督協会と言う異化効果が山形の中にあるんでしょうから、どうしたら金子に頼らずそうした効果を出せるのかってことを考えたいなと思うのと同時に、今年の『映画監督って何だ!』の上映に代わる、何か方法論を見つけて、異物として居る感じをうまく出せたらいいなあって。悪い意味じゃなくて、お互いの相乗効果として、うまくやって行く鍵になるんじゃないかなって思います。とりあえず、そんなことで。 
  sokatu_1.JPG
恩地 一番感じてるのは、僕は目が悪くて、映画祭の一週間後に手術してまた見えるようになったんで問題ないんだけど、僕らの体力では1日にやっぱり2本からせいぜい3本って感じなんだよね。それでね、東京でやったじゃない、事前に試写室で。あれで3本か4本観て行ったんで、随分楽だったと思う。あれが無かったら、絶対数が不足したなあって気がするんで、あの字幕試写をもう少し皆んなに観てもらって行ってもらうと、審査がもう少し楽になるかなあと。字幕試写は出品する映画は必ずやらなければいけないわけだから、スケジュールをうまく合わせて、せめて3、4本観てから行った方が楽じゃないかなあ。そのことを次の人たちに伝えてほしいというのが僕の素直な感想です。
 
ジャン その点で、公式カタログの翻訳の仕事で映画祭の事務局に入ってたから分かるんだけど、事務所に既にDVDが置いてあって、ボランティア達がそれを借りたりしてるんですよね。ギリギリに字幕が付くのもあるんですけど、英語で観ていいということであれば、事前にそれを借りることは可能だと思う。そうか、早めに審査員を決めて、例えば、1ヶ月前からここで毎週金曜日に1本か2本観るとか、そういうようなことをやれば少しは楽になるし、山形へ行く時も安心があるんですよね、観るべきものを観たという気持ちで。 
 
恩地 あんまりしんどいとね。夜は飲んで楽しく行きたいじゃない、せっかく山形に一週間も行ってるんだからさ。 
 
斉藤 楽しいこともなければダメですよね。
 
恩地 苦しい、しんどいばっかりじゃさあ。審査員やる人いなくなっちゃうよ。 
 
根岸 今回は最初だから、映画祭の側もきちっと会場で見て審査をしてくれって言い方だったんだけど、今回、我々のことをだいぶ理解したと思うんでね、そういうことは次回は通じるんじゃないかな。 
 
恩地 同じ条件で観て評価しろって言うのはさ、昔からこういうコンペの場合にあって、技術賞なんてね、フジフィルムの本社で全員が観ろみたいなさ、観た直後に審査しろみたいなさ。どこで観たって同じだろって言うんだけど。映画として良いかを観ればいいわけだから、DVDで観ようとブラウン管で観ようと分かるものは分かるから。素人が観るんじゃないからね、プロが観るわけだから。あんまり期間中の会場で観ろっていうのにこだわらずに多く観る方がいいんだからね、本数少なくなっちゃうよりは。というふうに、来年は、是非、段取りしていただきたいと思いました。 
 
武田 今回、全然関わってなかったので、来年、是非、参加しますので、よろしくお願いします。 
 
金子 もう一言いいですか。
 
山崎 もう一言!?(笑)
 
金子 先人達への尊敬心というのがないんですよ、『RiP!リミックス宣言』には向こうの論理だけで。そんな相手にこっちも論理でやると負けちゃうから、こういった、もっとアジア的なパッションで立ち向かわないとね。論理じゃなくて、道義とか、仁義とか、そういうところで攻めないとダメよ!
 
一同 (爆笑)
 
恩地 まあ、でも、楽しかったね!
 
斉藤 実は、国際委員だけにはレポートを毎日発信してたんですね。ところが、写真がどうしても飲み会の写真ばかりだから、ヤマガタは物凄い楽しいようなことになってる(笑)。シビアなことも書いてはあるんだけど、ヤマガタは面白いなあという感じばかり伝わってます。でも、来れば実際楽しいし、それは皆に伝えたいですよね。
瀬川さんたちはどうだった? 安藤さんを含めて4人はアゴアシ自前でヤマガタに参加してくれたのだけど、その価値ってのをくだけたところで語ってもらえるといいんですけどね。下手に激励に行ったら記者会見の司会をいきなりやらされるから、現地担当には近づくなってアドバイスでもなんでもいいんで(笑)。
 
瀬川 短期間ですが裏方として参加して、裏方のたいへんさ、特に現地担当の斉藤さんの活躍には感動しました。日々いろいろなことが起こって、それを乗り越えて先に進んでゆく。映画祭の現場自体がドキュメンタリーのようでした。
  yamagata (10)m.jpg yamagata (11)m.jpg
斉藤 いやそれは、瀬川さんが記者会見の進行表を頼まれただけだと思っていたところに、審査員と受賞監督のネーム作成とか記者会見の司会とか俺がどんどんお願いをエスカレートして、予想もしなかった巻き込まれ方をしたもんだからそう思っただけで、俺の方はずーと山形にいたから、連日打ち合わせがあるといっても結構のんびりしてましたよ。
でも、ネームのプリントアウトひとつで3時間もかかってしまっちゃあ、確かにアセるよね。俺もその話をあとから聞いて、瀬川さんがもし来てくれてなかったらと思ったら、どっと冷や汗が出ましたね。
  yamagata (5)m.jpg
瀬川 事務局の多くがボランティアなので、伝達がうまくいかない部分があるんでしょうね。これをずっとやってきた斉藤さんは大変だろうなとは思いましたが、でも、事務局の対応が暖かいから、まあしょうがないかなという感じになってしまう。これがみんなの言う山形映画祭の手作り感だなって(笑)。
 
明石 とにかく印象的だったのは、シンポジウムの番外編ですね。本番の激論よりもさらにエスカレートしたからなぁ。終了直後にロビーで金子さんがやり合っていたのには、お~やってるな!と微笑ましく見てたんだけど、次のシーンで理事長がリングに上がってファイティングポーズを見せた時には、翌日の山形新聞の社会面の見出しがとっさに頭によぎり、背筋が凍りついたよね。「監督協会、場外でも大暴れ!」みたいな。ともかく、何事もなくて、よかった、よかった。まあ監督協会らしいといえば、らしいんだけど。
 
竹内 僕もそのシーンに立ち会えればまた印象は違ってきたんでしょうけど、遅れて参加した山形は映画、旅行、飲み会が好きな自分には楽しい思い出でしたね。それと相変わらずの貧乏監督なので、金銭面はネットを利用して安い手段で対処しました。また機会がありましたら、喜んで参加したいと思ってます。
それとあくまで個人的な収穫ですが、『デスノート』の演出を高く評価しててリスペクトしていた金子監督との出会いが自分の中には大きくあります。昔、何かで金子さんの写真を見た印象では、真面目な剛腕監督のイメージでしたが、実際会ってみると、ユニークな剛腕監督って感じです。シンポジウムでは暴れたり、カバンの中には歴史書をいつも持ってたり、会合で話す内容も一般的な人と違ってます。変わりモノ好きな自分は、更に金子さんに好感を抱きました。
映画祭と言うより、監督協会の活動面での感想ですが、このような良き出会いもあるわけです。
 
斉藤 竹内さんには往復8千円を切る方法とか3千円で泊まれる安宿情報とかのハウツゥをもっと語って欲しかったんだけどね、自主規制かけちゃったね(笑)。
山崎さん、レポートを先に書かれてて何を語ってもダブっちゃうってことはあると思いますけど、これは書けなかったなってのがあれば──
 
山崎 第一回目の選考会議では意見がまとまらず、まだ見逃している映画があるんじゃないかという危惧があって、どうなるかと思いましたが、最後の追い込みでのブース試写や劇場への駆け込みで、これぞ監督協会賞だというのを見つけたいという思いがあって、かなりプレッシャーの中にいましたよね。
『馬先生の診療所』を見終わって、斉藤さんに「どうだった?」と聞かれて、「面白かった」と答えると、驚いて「渋い顔をしているので良くなかったのかと思った」と。だって、これからあの長さを見てもらうことを思うと、大変だなと、でも見てほしいなと、複雑な心境だったです。
最初は見るリストに入れていたけど、長いのではずしたら、恩地さんから絶対に見るようにと指令が出て、根岸さんはすでに見ると決めていて、審査委員長と国際委員長に挟まれてしまって、劇場に見に行ったわけですが、1部と2部の間の休憩時間に抜けることもできたけど、とにかく最後まで見とどけようという気持ちにさせた映画で、最後まで見てよかったです。だからまだ見ていない方は、ぜひ最後まで見ていただきたいです。
 
斉藤 協会での上映会の時も、あの休憩時間に奇妙な空気が流れましたね。ここで逃げたらマズイよなって空気が間違いなく漂ってました(笑)。
あと、なぜ金子さんが「変なおじさん」と呼ばれるようになったか、その謂われだけは言っておかないと読者が消化不良になっちゃうんで──。本人が言いたくなさそうなんで、俺がしゃべります(笑)。
山崎さんの山形レポートを読んでもらうと分かりやすいんだけど、噂の"フェイクドキュメンタリー"『ここにいることの記憶』の上映直後に、明かりが点くのを待ちきれずに金子さんが「これはドキュメンタリーですか!」と怒鳴ったことが始まりなんですね。それで、Q&Aでも監督の川部良太君とやり合って、川部君の仲間らしい若者がまた擁護の発言をしたりして、その場は時間切れってことになったんです。その後、金子さんが別の会場に行くとそのロビーで若者たちが大声で「さっきの会場で変なおじさんがいて、なんかトンチンカンなこと言って怒鳴ってたんだよ」なんて言ってるのが聞こえて来ちゃったんですね。要するに、川部監督を含めてフェイクに異議を申し立てているのが『デスノート』の金子さんだと誰一人気づいちゃいなかったってことなんです。それで、口惜しくなって(笑)金子さんはIDカードをちゃんと見えるように表にしてから「その変なおじさんは俺だけど。金子です」と話しかけたんです。でも、話しかけられた若者は警戒してるもんだからIDカードを見てもなかなか分からなくって。で、金子さんが離れてしばらくしたら、その若者が飛んで来て恐縮しながら挨拶して、でも握手だけはちゃっかりして帰っていったと─。そういうエピソードです。
 
金子 僕としては結構傷ついた思い出になるわけです、山形は(笑)。
 
(雑談へと移り、会話は盛り上がって行く)
 
根岸国際委員会の会議はいつのまにか雑談になってしまうのが常なんですけども(笑)、でもこういう雑談の中から今回の企画も生まれましたし、山形でも朝に夕にこういう感じで話してきました。迷路に入ってもおかしくなかった審査がスムーズに行ったのも肩の力を抜いたコミュ二ケーションを積み重ねた結果です。こういう感じで進めていけば残された問題の解決も容易ではないかと、やや強引で自画自賛的に、国際委員会らしくあまり締まりのない言葉でこの会を閉めたいと思います(笑)。
あと、日本のドキュメンタリストに期待してたんで、それに関しては、若干、期待を裏切られたような気がするので、そこら辺のところをもう少し素直にドキュメンタリーの作家達とも話し合える場が出来ればいいなあと思っております。
 
- 2010.2.12 Friday - 
sokatu_last.JPG

司 会:根岸吉太郎/編集責任:斉藤信幸/写真・収録:竹内英孝