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特集

日本映画監督協会 会員名鑑

山形国際ドキュメタリー映画祭 日本映画監督協会賞レポート

山形国際ドキュメンタリー映画祭を終えて (2)

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 (1)『馬先生の診療所』の上映運動を中国でやってみる?!
 (2)山形で映画を1本も見れなかったけどまた行きたい!
 (3)金子さんが "ヘンなおじさん" と呼ばれるようになった理由とは!?
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恩地 監督協会賞を『馬先生の診療所』で叢峰監督にあげたってことについて、ハジから全員がしゃべるってのはどう? 
 
根岸恩地さんがせっかくそう言ってるから、竹内から。
 
竹内 監督協会での上映会は、仕事で観れなかったんですよ。 
 
斉藤 竹内さんはDVカメラやなにやら重い機材を抱えて駆けつけて来てくれたんですけど、その3日間も裏方の手伝いばかりお願いして、申し訳ないことに山形でも一本も映画を観れなかったんですよ。
 
恩地 だけど、監督協会賞というのを作った、山形にね。横で見ててどう思った? 
 
竹内素晴らしいと思いました!!
 
恩地簡単だね(笑)。 
 
竹内 自分はドキュメンタリーに詳しくないもあるんですけど、監督協会の恩地さん、崔さん、根岸さん、金子さんの方が有名人で目立ってたようで誇らしくもあり、山形映画祭に花を添えたような気がしました。山形映画祭にもプラスになったと思いますし、また参加したいと思いました。 
 

●「これで次回作の製作費が出来た」と叢峰監督はニッコリ笑った

 
瀬川 僕も『馬先生の診療所』は観られなくてあれなんですけど、山形で感じたことはドキュメンタリーが多様化していて、ドキュメンタリー映画祭に出ている作品自体もイメージビデオに近いものから伝統的なドキュメンタリーのようなものもあって、そういう中で監督協会の視点で一つの賞を選ぶと言うことは、手前味噌ですけど、映画祭自体の活性化に凄く寄与するんじゃないかなと感想を持ちました。
 
恩地 フィクション作ってるわけじゃなくても、原一男もいますし、山崎博子もいますからね、ドキュメンタリーも"作ってる"ってことだよね。それだけ幅が広いわけね、今は。 
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ジャン 『馬先生の診療所』が最後になって出て来てバタバタしたというのがちょっと気になるところではあるんですけど、しょうがないと言えばしょうがないんですけど、結果的にはあの作品に与えて良かったなあと思います。次回も多分同じようなバタバタした中でいい映画が受賞するとは思うんですけど、それが致命的というか辛いところはありますね。
少しマジメな話になるのだけど、選考会議の前の日に聞いた「J-Pitchセミナー」で著作権問題が出て来て、プロデューサーが「今の時代、何でも著作権が絡んで、とても映画が撮りにくくなってる。特にフランスなどで。ヨーロッパではフェアユースの概念がない」などとコメントしてました。そういう意味で、僕達がやったシンポジウムはとても意義があったと思うんです。で、監督協会が『RiP!リミックス宣言』に異議があっても、それを取り込んだことによって、山形のお客さんが監督協会と一緒に著作権問題を考えたいというところに繋がって良かったなと思うし、あとは、いろいろなヒントを貰って、これからの監督協会の中のセミナーや勉強会をもっと突っ込んでやる必要があるんじゃないかと刺激を受けましたね。
 
金子 でも、『RiP!リミックス宣言』は絶対に間違ってるから!
 
一同 (爆笑)
 
金子きちんと戦って行かなければいけないと思います!
 
恩地 梶間(著作権委員長)が喜ぶよ。
 
一同 (笑い)
 
ジャン それで、もうひとつの成果というのは、監督協会の中で僕達が参加したことはよく伝わっていた。会報にも審査員やパネラーの皆んなが山形のことを書いたということで、多分、協会員の中で次回に参加したいと思う人が増えているんじゃないかという気がするし、協会としても、映画界の中でのもう一つの参加の形が出来たというところが良かったんじゃないかと思います。
逆の方から見ても、アワードという映画祭のど真ん中に監督協会が参加したということで映画祭側が喜んでいるし、そういう繋がりが出来るということは映画祭にも監督協会にも広がりになるんで、良かったんじゃないかなと思うんですよ。
 
金子 (再び順番が回って来るや、いきなり)あの、『包囲』と『馬先生の診療所』を比べると、『包囲』はスノビズムの象徴!
 
一同 (大爆笑)
 
恩地 金子はみんなスノビズムだなあ(笑)
 
金子 こんなものを何故選んだかって言いたい。 
 
恩地やや賛成だけどね。 
 
金子 ちょっとヒド過ぎるっていうか、何の価値があるのかっていうくらいに僕は思うんですけど『包囲』は。あれは本で済む話です、映画にする必然がない。それに比べると、『馬先生の診療所』は討議の時は反対はしたけど、ドキュメンタリーの在り方としても、作家の在り方としても、ちゃんとした正しいものを選んだんじゃないかと思うんですよね。
そして、さっきも出た、監督協会賞をとったものがすぐに東京でもやれるシステムが出来るとまた違うんじゃないですかね、アピールとか。それは面白いと思います。 
 
安藤 (改めて一同をしみじみと見まわして)まずは、本当に皆さまお疲れさまでした。 
 
一同 (大爆笑)
 
安藤 いや~、思わず口から出てしまいました(笑)。本当にあんなに沢山の映画を見ていただいて。それに、斉藤さんだとか竹内さんだとか裏で支えた方も本当に大変だったろうなという気がして。僕は一泊二日しか行かなかったもんだから映画も4本しか観てなくて、『馬先生の診療所』も観られなかったんですけど、あれだけ真剣に審査員の方々が観てくださってて、向こうの映画祭の方々が感謝してる感じもとても良く伝わってきてました。それで、今回は監督たちがイチ審査員という個人じゃなくって監督協会そのもので参加してくれたというのが、何かこう、いい形で山形映画祭自身にも膨らんでる気がしたんでね、とてもいいと思いました。
『包囲』は観なかったのでそんなにヒドかったかは分かりませんが、何が選ばれるということよりは、むしろ監督協会の方々がちゃんとした形の眼でひとつの価値を世に出すという試みに意味があって、しかもそれに対して賞を与えるって、とてもいいなあってつくづく思いましたね。今までね、そういう立場ってなかったから。だから、是非、続けるべきだろうし、監督協会らしいと思ったな。 
 
ジャン じゃ、次回の審査員に!
 
一同 (大爆笑)
 
山崎 4ヶ月も前のことなんですけど、いろいろ良い作品面白い作品を観せてもらって、いい勉強させてもらったなと思います。観客の半分くらいは学生とか映画作ってる人、半分は言い過ぎかもしれないから3分の1かな、日本中から若い人達が来てる雰囲気があって、映画祭であると同時に、映画学校みたいなもので、ここでアジア部門に出て、またコンペに出そうというふうに作り手を育てて行く映画祭であるんだなって印象は非常に持ちました。
それで、コンペの作品は質が高い。比べたら、アジア部門の作品は荒削りなんですけど、テーマの選び方はそれぞれにしっかりしてるんで、その時は批判的に観てたんですけど、後で考えたらなかなかちゃんと作ってるなと思ったりして、そんな感じでした。『馬先生の診療所』に監督協会の賞が行って、良かったなと思いました。 
 
明石 僕も『馬先生の診療所』に関しては観る機会がなかったのでちょっと語れないんですけど、他の受賞作品で何本か観たのがあったんで、その比較とすれば、凄く監督協会らしい選択をしたなって感じがしました。
それとあと、やはり、監督協会の審査員の方々がいい意味でのエイリアンって感じで、映画祭にいい刺激を与えたんじゃないかなって感じは客観的に見えました。特にシンポジウムというのは、打ち合わせ段階で、器がデカ過ぎるんじゃないかとか心配がいろいろありましたけど、あれはやって意義あったんだと思いましたね。観客の方も、観終わった後にそんなに帰らずに最後まで熱心に討論を聞いてたってのが、凄く印象に残りました。来年やる時も、何かしらああいうシンポジウムみたいなものを仕掛けて、映画監督協会らしさっていうか、それを出せるといいなと感じましたね。
それと、印象に残ったのは、監督協会賞をもらった中国の監督は30万の賞金もらって、あれはキャッシュですか?
 
斉藤 もちろん、うちだけはキャッシュ!
 
明石 「これで次回作の製作費が出来た」というコメントが物凄く良かったですね。そんな感想を持ちました。 

(安藤さん、所用にて退席)
 

●授賞式前夜に審査員が徹夜で作品を鑑賞している姿は、予感どおり

 
斉藤 現地担当だったんで一番情報を持ってて、どれを喋ればいいか難しいんですけど、一番最初から問題になるんだろうなと思っていた審査作品の対象の絞り込みですよね、事前の情報収集を恩地委員長から言いつかっていろいろやったんですけど、結局、それは役に立ったんだか立たなかったのかよく分からない微妙な結果です。最終的には、審査員が興味を持った作品を観てもらうのが一番だということでそちらを優先して。でも、事前情報で気になる作品はあるんで、それをいかに無理強いせずに観てもらうかってことを頭に置きながら、あの一週間はずっとやっていたわけです。それで、最終日に、こちらの要鑑賞リストに挙げていて見損ねていた『馬先生の診療所』を、恩地さんの直感が働いて、「絶対観ろ」と指令が出て、ブレックファーストミーティングで30分以上掛けてすったもんだして、山崎さんが見たい映画をあきらめて根岸委員長と一緒に観に行かれた。その後に、こういうことが起きたということは、本当に象徴的だと僕は思いました。
それで、恩地さんじゃないけど、夜中に皆さんお酒も飲まずに出先から帰って来てもう一回ビデオ観直したりとか、ジャンさんなんかはテープの順番で朝方まで観てたりしてね。予感はあったけど、授賞式前日のそんなバタバタを見て、当たり前にこれが毎回起きるんだよなって少し無責任にうれしくもなりました(笑)。
事前に絞り込むって無理だと思うんですね。コンペ部門の作品だけにするというなら別だけど、完成度だけでなくやっぱり可能性を拾おうと「尖った」ものを探せば、必然的にこの事態になります。でも、一回目からこれが起きたのは、僕はとても良かったなあと思いました。これから先もこういう感じで進むんだなと、そういう感じの覚悟が出来たんじゃないかと思うんですね。
それで選んだ作品のことですが、山形は賞がものすごく多くて、しかも今年は各賞とも特別賞とか奨励賞とかプラスがやたら増えてて、ある程度ほかの賞の行方は読めてたんですけど予想外の特別賞の多さに、大賞の発表までダブらないでくれダブらないでくれとひたすら舞台の袖で祈ってました。監督協会賞のアピールのためには、最初ぐらいはダブりたくないんで、ハラハラもんで。結局、それはセーフで。
で、その後、東京に戻って協会会議室で上映会をやって僕はハジに座ってたんですけど、またまたハラハラドキドキなんです。今度は皆さんがどんな反応をするのか、寝られたらどうしようかとかうかがいながら。今度の会報では、協会に来たのが初めてという金丸さんという若い人がレポートを書かれるそうなんですが、「眠かった」とあるそうです。「眠気との闘いだった」と。確かに僕らも山形でまさしく眠気との闘いだったんですけどね、でも、明かりが点いた後に何人かの方が「3時間35分は普通逃げるのにね」「スゴイの選んできたね」という言葉を頂いたんで、選考として間違ってなかった、やり方も間違ってなかったと僕は思いました。
山形へのインパクトは、計算外の金子さんの変なおじさん効果です。崔さんは別の意味でいろいろと期待はしていたんですけど、金子さんがあちこちで弾けてくれたんで、「監督協会は本当に凄いパワーを持ち込んでくれました」と事務局からも感謝されましたし、観客の側もそれを感じたと、監督たちは怖くてスゴイ!とあちこちのブログで書かれてましたから、本当にいい最初の出だしだなと僕は思ってます。
あとはいろいろ言うことはあるんですが、この辺で、委員長!
 
根岸 まあ、変なおじさんには毎回参加してもらいたいですが(笑)。 
 
一同 (大爆笑)
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金子 でも、審査するってなってくると、もうちょっと分からせてくれてもいいんじゃないの、もっと分かりたいという思いが強くありましたね。審査することで勉強なるんだけど、どうしてもうちょっと分からせてくれないのっていうところに入っていくと、大袈裟に言うと、「映画って何だ」というところまで行っちゃうんで。
 
恩地 大袈裟じゃなくて、そうだよ。
 
金子 そうなんですけど、それにしてはもうちょっといろいろ分かりたいなって思うんですね。最近の流行りなんでしょうがナレーションを入れないことが多いから、ナレーションを入れるとテレビ番組みたいになっちゃうから避けているんだろうけれど、続けて何本も見ると、もっと分かり易くしてくれてもいいんじゃないの、というのが本音。勉強になるんだけれど、疲れた。
 
  (続きます)