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日本映画監督協会 会員名鑑

監督協会 声明文

大阪市の『職員の政治的行為の制限に関する条例』に反対します。
協同組合日本映画監督協会

大阪市において『職員の政治的行為の制限に関する条例』が成立、8月1日より施行されることとなりました。協同組合日本映画監督協会は、表現の自由を守る立場から、この条例に強く反対し、施行の中止・撤回を求めます。

地方自治法では公務員の政治的行為の制限として、投票の勧誘や寄付金集め、公共の場所へのポスターの掲示などを禁じていますが、大阪市は人事院規則が定める国家公務員の政治的行為の一部を適用して、10項目の追加規制を条例で定めました。これらは全て表現の自由に関わるものばかりですが、その中で特に私たち映画監督ならびに芸術活動に携わる全ての人々にとって見過ごすことの出来ない項目は以下の3つです。

『職員の政治的行為の制限に関する条例』第2条

(1)職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること

(6)政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図書、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し、若しくは配布し、若しくは多数の人に対して朗読し、若しくは聴取させ、又はこれらの用に供するために著作し、若しくは編集すること

(7)政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること

言うまでもなく、公務員が職務上、特定の政党や団体のために便宜を図ったり利益供与を行うことは行政の公平中立に対する信頼を損ねる行為ですので、そこは厳しくコントロールされねばならないことですが、職務を離れたプライベートな時間空間での行為にまで制限を設けることは、表現の自由に止まらず、思想・良心の自由をも侵害していると私たちは考えます。上の条文を読むと『政治的』とレッテルを貼られた瞬間に、いかなる表現活動も大阪市の職員は行えないことになります。

私たち映画監督は、映像を通じて自らの思想・哲学・信条などを表現し、人々にそれを伝えることを業としています。同様に劇作家は演劇を通じて、作家は文章を通じて、音楽家は音を通じて表現活動を行いますが、その表現方法に関わらず、また如何様な立場であろうとも、人間一人一人が自らの内面を表出させ、それを他人に知らしめることは、個人の自由意志で行われるべきものです。そしてそれを鑑賞したり享受するかしないかを決めるのも、受け取る側の自由意志に委ねられるべきものです。

思想・信条の自由、表現の自由は、人間として生きていく根本的な権利であって、だからこそ憲法がそれを保証しているのです。公務員であるからという理由で、その権利を恣意的に奪われるいわれは全くありません。

協同組合日本映画監督協会は、そのような権利の侵害につながるあらゆる行為に対して、断固として反対を表明します。