特集

日本映画監督協会 会員名鑑

あなたの台本見せてください

阪本順治監督 『ぼくんち』

『 あなたの台本 見せてください ! 』

 

 

「監督」って、自分の台本になんだかこちょこちょと結構書き込みとかしてるんですよね。...あれって、ちょっと覗いてみたくありませんか。なにを、どんなふうに書いてあるのか、人によってそれって意外と違うものだったりするのか...。監督それぞれの「創造の秘密」がそこに隠されてるのかも...。そんな「監督たちの秘密」に強引に迫ります! 監督! あなたの台本見せてください!

 

 

 

 

<Part1>

 

※ ...ということで、今回の特集コーナーでもインタビューなどが掲載されてる阪本順治さんの『ぼくんち』の台本が、広報委員会に送られてきました。

 

 

          画像1(台本の表紙)

   キャプション(以後cap)「...破れた表紙をセロテープ

できっちり補修してある」

       画像2(表紙のサインのアップ)

cap「『阪本用』...必ず監督は、自分の台本に名前を書く

...」

       画像3(監督 阪本順治)

   cap なし

 

 

※ 本来、監督の現場台本が人の目に触れることは少ない。ましてや今回はウェブ上で公開される訳だ。...さっそく阪本さんに電話を入れる。

 

阪本さん『 いやぁ、僕が言っちゃったから渡したんですけどね。...嫌ですよぉ。特に同業の人に見られるのはマズい...(笑)』

 

※ ...そう、この企画は阪本順治氏が広報委員の一人にポロッと口走ってしまったひと言が始まりだった...。

 

 

阪本さん『だって見たいですよね。人の台本見るのはほんとに面白いじゃないですか。僕、鈴木清順さんの台本、覗いたことあるんですよ。もちろんご本人の前でですけど。...色が書いてあるんですよ。シーンごとに。このシーンは藍色だとか。それはカメラのフィルターの色とかじゃなくて。...何だったんでしょう...とにかく色で、それぞれのシーンを表わしてた...。人のホン見るのは楽しいですよ、でも自分の台本見られるのは...(笑)』

 

 

          画像4(シーン1の見開き)

    cap「これが『ぼくんち』のファーストシーンだ!」

          画像5(カット割りの寄り)

    cap「几帳面に定規で線を引いてカット割りが書き込

まれている。意外と端正な字だ(失礼)」

    画像8(その部分のアップ)

    cap「カメラの動きやフレームのサイズが書いてある...」

    画像6・7(右側のページの寄り・同ア

ップ)

    cap「...右側の余白部分に書き込まれたメモ」

 

 

※ こういうメモは公開してもいいのかを聞いてみた。

 

阪本さん『...え...なんて書いてましたっけ...(電話のこちらで読み上げる)...やめてやめて!恥かしいから読み上げんのやめて!(笑)...まぁいいっすよ、人の悪口書いてあるとこじゃなきゃ(笑)』

 

※ 悪口書いてあるとこなんかないんですけど...。

 

 

阪本さん『いつ書き込むかですか。現場の前ですね。ロケハンの後、クランクインまでには半分は線、引き終わってる。具体的な撮影条件とかも考えて、これならいけるだろう撮りきれるだろうというふうに考えて最終的に引く。一度引いたら現場では変えません。基本的に。現場で役者さんに一回芝居してもらってからカットを考えるというのはないです。当然役者の立ち位置を拘束したりもするけど、僕は芝居の演出もやるけど映像の狙いもありますというふうに理解してもらいます。撮影に入って迷うこともありますよ。なんかいろんな問題が起きたりして。そんなときは夜遅くまで消しゴムで一回引いた線消して何度も引き直すこともあるし、そのシーンの撮影当日の朝早く起きてやることもある。だけど現場に入るときには決定の線が引き終わってるようにします。朝イチでそれを皆に説明することからまず始める。その場で考えたり変えたりはしません。その場で対応するっていうのが僕は怖いのかもしれないですね』

 

 

          画像9(緑のマーカーで修正されている)

    cap「PC画像ではよくわからないが、消しゴムで消

したり色ペンで修正した様子が...」

          画像10(見開き)

    cap「ここもそうだ。かなり細かくカット割りが引か

れ、人物の動きが指定されている」

    画像11(書き込まれた図)

    cap「人物とカメラの位置、動き」

          画像12(別のシーン)

    cap「さらにそこに監督の演出メモが加えられている」

          画像13(同・アップ)

    cap なし

          画像14(配置図)

    cap なし

          画像15(見開き)

    cap「台本いっぱいに様々な書き込みが...」

          画像16(別のシーン)

    cap「後半の、いいシーン...」

          画像17(同・書き込みのアップ)

    cap なし

          画像18(同・セリフ部分アップ)

    cap「脚本のト書きに変更が加えられている。動きの

設定そのものが監督によって変えられたようだ」

 

 

阪本さん『台本の線引きと、できあがったものが違うっていうときはありますよ。10カットぐらい割ってていきなりワンカットになっちゃうことなんかも。それは現場の状況で、これは今日はカットがかせげないとかっていうときなんかね、一回目のリハーサルで、あ、これはワンカットでいけるな、って判断することもあったりはします。そのときは現場の皆に宣言しますよ、そういうふうに』

 

 

          画像19(風、波の青い文字)

    cap「青い文字は、仕上げで入れる効果音...「風」と

「波」の音の指定...。台本は、撮影現場だけで

使われるものではない」

          画像20(風)

    cap なし

          画像21(風音)

    cap「風の音、が目立つ...今回の作品の中で、風の音

がどんな効果を表現しているのだろう...」

    画像22(ドア音、寝息)

    cap「...こんな指定も」

          画像23(幻想 雫音のみ)

    cap なし

          画像24(見開き)

    cap「ラスト近く。ほとんどカットが割られていない。

長回しを狙ったシーンなのだろうか...」

 

 

阪本さん『...だから、ほんとにヤバイとこは載っけないでくださいね。広報委員会の良識、信じてますからね!(笑)』

 

 

※ 阪本さん、ありがとうございました。

 

※ お二人(阪本順治、黒沢清両氏)とも、DGJ(監督協会)のHPに皆さんが楽しく訪れてくださるきっかけになれば、ということで快く台本を公開してくれました。この企画をご理解いただきました『ぼくんち』の脚本家の宇野イサムさん、並びにアスミック・エース、アップリンク、角川大映映画の皆様に感謝いたします。

 

 

 ( 取材 / 広報委員福岡)