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制服美少女 先生あたしを抱いて

新着情報『制服美少女 先生あたしを抱いて』
高原 秀和監督インタビュー

<18年ぶりにピンク映画を撮る高原 秀和監督に、ピンク映画を今まで見た事がなかったという松竹大船撮影所育ちの阿部 勉監督がインタビュー。高原監督とは助監督時代からの盟友である望月 六郎監督、主演女優の蒼井 そらさんも駆けつけ、賑やかなインタビューとなった>


(DV取材/構成:工藤 雅典)

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1961年11月5日生 東京都出身
85『セクシーアップ 桃色乳首』で監督デビュー。映画/91『新・同棲時代』97『Give me a Shake レディースMAX』99『SHINJUKU
LOFT bootleg 1999』。テレビ /93『給食カレー』『ピビンパ』。オリジナルビデオ/『マルソウ改造自動車教習所』『喧嘩愚連隊』他、PV、AV多数。03『猥褻ネット集団 いかせて!!』で2003年度ピンク大賞脚本賞。

 

 

 

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「2004年6月17日監督協会にて 左から、望月 六郎監督、阿部 勉監督、高原 秀和監督」

6月27日~7月1日
撮影現場風景

 

 

 

 

 

 

 

阿部  18年ぶりのピンク映画ということだけど、まず、映画業界に入ったきっかけとか、修行時代のことから聞きたいんだけど?

高原  横浜(現・日本映画学校)にいったんですよ。それで、映画の現場に出たいなと思っていたら、父親の友人が、西原 儀一監督の制作部をやっていて、それで紹介してもらってピンク業界に18才の時入って。それからはいろいろな監督の現場に助監督でついて、最終的には廣木(隆一)さんとか石川(均)ちゃんなんかのいた中村 幻児監督の雄プロに流れついて、85年に監督デビューしました。

阿部  僕はピンク映画というジャンルはあまり知らないんだけど、『猥褻ネット集団 いかせて!!』(監督:上野  俊哉)を観させてもらって、映画としてきちんと撮っていたんでびっくりしたんだけど。

高原  中学生くらいからピンクとか日活ロマンポルノとか見始めて。チンコ立てながら映画として刺激を受けたというか(笑)。日活だと神代 辰巳さんの『赫い髪の女』とか田中 登さんの『人妻集団暴行致死事件』とか、わからないくせに凄い感じがするなとガキの頭で勝手に解釈して。ピンクだと若松(孝二)さん、(高橋)判明さん、幻児さん。僕らが助監督をやってる頃は廣木さん、滝田(洋二郎)さんなんかがピンクを撮っていて、みんな面白かったんですよ。今はピンクとAVの違いもわからないという事があって、映画学校の学生なんかにも「ピンクは面白いよ」と言ってもAVだと思ってますよ。セックスを描くというルールさえ守れば、一番作家性の強い映画がピンク映画なんじゃないかって気もするんですけどね。
阿部  自分の映画の脚本は自分で書いてるの?

高原  いや、そんな事ないですよ。デビュー作は吉本 昌弘さんですし。

望月  その後、吉本さんはどんどんメジャーの方に行くんだけど、ピンクっていうのは、ライターも監督も修行の場として良かったっていう感じはありますよね。

阿部  僕もそうなんだけど、ピンク映画が一体どういう作られ方をしているのかわからないという人がいると思うので、製作日数とか予算とかの話は聞けますか?

高原  今は撮影は平均3日くらいみたいですね。僕らの頃は平均4日。会社によって違うんですけど、300万から500万くらいの予算で、現像、フィルム代はトップ・オフされて、残りの金でスタッフ、キャスト、機材をまかなって制作すると。基本的にはプロデューサー監督システムなんで、監督が予算計算もして。だから作品に力が入ると基本的には監督のギャラはなくなるんですよね。監督の采配でいくらでも撮影日数はかけられる。その代わり赤字なんですけど(笑)。

阿部  尺数は?フィルムはどのくらい回すんですか?

高原  大体60分。フィルムは完成尺の1.5倍くらい。

阿部  2倍とか3倍とかはあり得ない?

望月  でも、オール・アフレコだから音のNGはないんだよね。音のNGって案外多いじゃない。それが一切ないからね。

高原  台詞を間違っても、アフレコで直すからOKって事もあるし。

望月  サイレント撮影用のカメラがグギャーッとでっかい音で回ってると、ダラダラ撮ってられないよね(笑)。

高原  助監督の頃、フィルムの回ってる音がね、映画撮ってるみたいだ!って。映画撮ってるんだけど(笑)。

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「ピンク映画に新鮮な驚きを感じたと語る阿部監督」


阿部
  ピンク映画はやっぱりピンク主体でやってる役者さんが多いんですか?
高原  ピンク中心に活躍してる役者もいますけど、基本的には役者をやりたいという事だけだと思います。たかだかカラミがあるだけって感じで捉える人は出てくれますよね。僕らが助監督の頃は大杉 漣さん、下元 史郎さん、螢 雪次郎さんとかがいろんな組のレギュラーで活躍してましたし。
望月  でかい映画のちょい役で出てるよりかは、ちっちゃい映画でも自分がメインになれるということもあるわけだし、そういう喜びはあるんじゃないかなあ。
阿部  若い監督たちっていうのはどうなんですか、ピンク映画というジャンルは?
高原  今回、助監督で付く坂本 礼は26才で監督デビューして、去年3本目を撮ったのかな。予算組みの時「助監督のギャラ、いくら?」って聞いたらすごく安くて、それで、お前の下に何人つけるつもり? 「二人つけようと思います」。こんなギャラでいいの? 「僕たちはこれやってたら監督になれますから」。あー、そうだよな、俺もそういう気持ちで助監督やってたよなと。
望月  ピンクの助監督はどうやって食ってんの?っていう世界だからね。
高原  『猥褻ネット集団』もロケセットの判子屋は空家に助監督だけで作り込んでますけど、ピンクは制作、美術、記録、衣装と助監督が全部やるんですよ。だから、みんな過酷な状況には慣れてて(笑)。僕はピンク映画の経験しかなくて、いきなり一般映画の監督をやったんで、スクリプターって何する人?みたいな感じだったんですよね。普通の映画っていっぱい専門スタッフがいて、助監督やることないじゃん!みたいな(笑)。
阿部  普通の映画の助監督なんて何もしない(笑)。下手に手を出すと担当スタッフに「触っちゃダメ!」とかいろんなこと言われる。
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「盟友の新作に、あたたかなエールを送る望月監督」

望月  僕らは助監督時代からの友だちなんですよ、高原ちゃんが先輩で。
高原  年は全然望月くんの方が上なんだけど(笑)。
望月  僕がピンクをあまりやらなかったのは、喰えなかったっていうのがあるわけですよ。撮っても撮っても金にはならない。僕らの時代はAVってのが来たから、それやってりゃ喰えるってのもあって。十数年前、僕らは多分ピンクは死滅するんだろうくらいに思ってたんですよ。でも、今もしぶとく生き残っていて。ピンク映画と決別というわけじゃないけど、一旦ピンク業界から身を遠くした人間がね、どうして18年ぶりにピンクをやるのか聞いてみたいんだよね。
高原  ピンクを久々にやろうと思ったきっかけは望月組だけどね。『AV野郎 いかせ屋ケンちゃん』という作品で恥ずかし気もなくピキニパンツ一丁で自ら出演している姿を見て、ピンクいいなあと、望月 六郎、恥知らずで素敵だなあと思って(笑)。
望月  じゃなくて、18年ぶりの今の心境を聞きたいんだけど。
高原  ピンクでやれるテーマが自分の中に見つかったって言うか、映画の学校の講師をやってるというのが大きいんだけど。生徒を相手にしていると、なんか人との距離感を考えてしまうというか、よくわからなくなっちゃうんですよ、自分の立ち位置が。簡単に説明すると今回の作品は40にして初めての子供に戸惑う同僚と不倫している高校教師と、心と体のバランスが取れない女生徒の話なんですけど。原題にもなっているキーワードは「アルモンシカナイ」。何で人はない物ねだりをしてしまうんだろうと、社会通念や道徳として悪いとされてるものは本当に駄目なんだろうかと、そんな事を漠然と考えていて、こういう"想い"をやるのがピンクだったんじゃないかなと思って。今の自分の状態のバランスの悪さというのもあるし、原点回帰の意味もあって撮りたいと思ったんだよね。
望月  高原ちゃんは青春映画が多かったんですよ。結構いい年になっても青春、ロックって感じで、脚本読んで、結構おじさんになったんだな、みたいな。
高原  中年青春映画だから。
望月  主人公のダメ教師はもしかしたら高原ちゃんに重なるのかも知れないし。高原ちゃんの心境なのかなあと思って。
高原  どうせ映画とかロックとかはダメな人間がやるもんだと思ってたんだけど、ダメになり切れないんでコンプレックスがあるんですよね、僕は望月 六郎みたいにダメになりたいなと(爆笑)。

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「蒼井 そら公式ウェブサイトhttp://www.aoisola.net/


蒼井
  蒼井 そらです!
望月  青春の部分を受け持つわけだね。
高原  制服美少女だ(笑)。
阿部  若い世代から見て、今回の話とか分かりますか?
蒼井  私の今回やる役とは全然違って育ってきたから、よくわからないですけど、なんか、難しいなこの子って、私はすごい簡単に生きてきたから。
高原  簡単には生きてないだろう。
蒼井  社会に対してなんて何も考えなかったし、この子は、ひねくれてると言えばひねくれてるじゃないですか。私は全然ひねくれた事がないんで。
高原  AV出てる段階でひねくれてるって(笑)。
蒼井  そこまでだけどね(笑)。
高原  どこか絶対、歪みはあるんだよ。
蒼井  まあ、あたしも歪んでるんだろうけど。脚本を読むと不思議な子じゃないですか?
阿部  でも、すごい良い子だよね。
高原  純粋なんだって気はしてるんだけどな。
蒼井  なんか自分が考えた事ない事を考えてるなって思って。
阿部  フィルムの映画というのは?
蒼井  フィルムとビデオの違いが分からないんです。
阿部  モニターがないから本番の時にはスタッフの視線が役者にバーッと集中しちゃう。
蒼井  わあ、そっかー、超緊張する。フィルム代もバカにならないしね。
高原  NG出すたびにギャラから引いてやる(笑)。
蒼井  怖い、怖い!(笑)
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望月  ピンクに初めて出てみようかなと思ったのは、高原ちゃんだったからというのが大きいと思うんだけど? 監督としてどうなの?
蒼井  最初に会った時のすごい印象が大きくて。なんだ、この人って思ったんですよ。一番最初に撮ってもらった時にタヌキのコスプレでいこう!って。タヌキのコスプレってなんだよと思いながら、超おかしいと思って。台本見たら、なんだこりゃ、コントだ、コント、AVでこんなことするんだあと思って。目の周り真っ黒に塗られてタヌキにされて。ああ、私のイメージがあ(笑)。

高原
  40過ぎてそんなのを嬉々として撮っていて、新たな変態だねと望月くんに言われてるんだよな(笑)

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これがタヌキAV「cosmic girl」@アリスJAPAN


阿部  売れたんですか、それ?
蒼井  だいぶ。私のお気に入りにもなってるんですけど。それからすごく仲良くなって、交流があるんですけど。

高原
  僕がAV撮る時の姿勢というのはアイドルビデオだと思ってるんですよ。アイドルビデオのワンコーナーという意味合いでタヌキとかやったりするんだけど。AVの場合は撮る女の子を面接して、例えば看護婦ものでとか女子高生ものでとか発注されるんで、それに合わせたアイドルビデオというか、そういう意味でもピンクとAVは全然違うと思うし。僕はAVを撮ってても女をモノ扱いするのが嫌なんですよ。メーカー側が多く望むのは女を性の玩具として扱う事だったりするんだけど、それはあんまり好きじゃなくて。
望月  AVの濃密さでいうとピンクは勝てないよな。
高原  AVは結構ナマにやってボカシを入れるけど、ピンクは局部とか絶対見せないという事だから、見せない事のいやらしさで撮りたいなという気はあります。若い頃は映画を撮る為のアリバイとしてカラミ入れときゃいいんだろと思ってましたけど。今回はピンクならではのいやらしさを撮りたいなと思ってますけど。
蒼井  あたしもそこはちゃんと表現したいところだと思ってるんですけどね。
高原  ピンク映画というのは短期間の中で撮り切るから、悪い状況でも何とかしようとするんですよね。それが、逆に面白くなる時があるんですよ。昔、廣木組で『白昼女子高生を犯す』という映画の助監督をしたんですけど、積み込みの日が大雪で、機材の車が動かないくらいで、撮影4日間の中に、雪、曇り、雨、ピーカンって全部あったんですよ。現場中は廣木さん大変だったと思うけど、でき上がりはいいんですよね。
阿部  日数があるからといって、撮れるもんじゃないですよね。

高原
  ピンク映画は短い期間でやるから、アドリブの面白さはありますね。工夫の仕方でそれが凄く生きたり。今回もイメージ的には晴れでも、雨なら雨で、開き直って撮っちゃおうとか考えてますから。
望月  もう戦闘モードに入ってるって感じだね。
高原  なんたって、これ、撮影前インタビューだからね(笑)

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工藤  今回はどんな所が見どころになりそう?
高原  人との距離感が自分の中のテーマなんで、観た人達が会話ができる映画がいいなと思ってるんですよね。観た人が自分の感覚と立ち位置で、語れるような映画になればいいなと。
阿部  一人よりはカップルで観ると面白そうだね。
蒼井  女の子にも観て欲しいですよね。
阿部  性というテーマに限らず、これだけ作家性の強いジャンルって、なくなったじゃないですか。
望月  昔の日本映画ってさ、性をテーマに扱いながら、人間をすくっていくみたいなのがあったけど、自分たちに密着した性の問題を扱う映画がジャンルとしてないんだと思うんだ。そういうところにピンクがあるんじゃないかな。
高原  俺のインタビューというよりピンク、AV論みたいになっちゃったけど、こういう映画があるんだって、どこか面白く伝わってくれると嬉しいな。
<高原 秀和監督『制服美少女 先生あたしを抱いて』2004年7月27日より新宿国際名画座を始め、全国の成人映画館で順次公開>