
表現の「不」自由を語っちゃおう! 【8】
第八回 誰が表現を殺してるのか
ホントに楽しいの?
舞原:あの、連ドラで、撮影始めてからシナリオ変えろっていうのがあるじゃないですか。
ヤマサキ:ええ。
井坂:今、局主導の連ドラなんかはそんな話聞きますね。
ヤマサキ:ストーリー自体をね。
井坂:ストーリーどんどん変えていっちゃう。だから逆にぎりぎりまで本作んない。現場はもう大荒れで、完パケ納品下手すりゃ当日とかっていう話も聞きますしね。そうなると、表現の不自由さって意味に連動してくるのは、スケジュール合わせで今日ここにいるからこのへんでロケ場所探してと。
ヤマサキ:はあー。
井坂:「えっ、ここで撮るの?」って言うと、「いや今日もうスケジュールこうなってますから」っていうことがまかり通るみたいですよ。
ヤマサキ:ええー(笑)
井坂:だから俺が二時間やった時に、そういうのに慣れちゃってる制作部が、まあ一応仮の総スケみたいのはチーフが作ってても、そんな物は当然変わるしっていうのに「この日に入ってるからこのへんでまとめてみました」ってロケハンでとんでもない場所に連れて行く。そのまとめる発想はいいですよと。だけどここでやるの? って。でさ、「この場所があなた良いと思いますか」って言うと、「いや、でも移動考えたらここでやるしかないと思う」って平気で言うの。
三島:いますねえ。
ヤマサキ:(笑)
三島:で、またそれに対応できる監督が重宝されたりとか。
井坂:そうなんですよね。だからそこでロケハンやり直しとかって言うと嫌われるの。
三島:(笑)
井坂:でも嫌われてもね、できあがった作品で言うしかないから。うん。
内藤:だから助監督の時からそういう教育を受けてないで育っちゃってるんですよね。
井坂:そうなんです。ええ。
内藤:それは監督になると、それは当然だっていうふうに思ってくるという。
ヤマサキ:ああ。まあ、そうでしょうね。きっとね。
内藤:だからある程度ね、ちゃんとした現場経験してると、じゃあ予算がない時、日数がない時どうするかを、「すいませんけど監督、ここで撮ってください」ってのができるし、監督になっても「それはできないけど、まあしょうがねえな」っていう判断できるけど、そうじゃなく、それしか知らないでやってるとね、まったく意味が違ってきますもんね。
井坂:そうすると、だって作ってて面白いのかなっていう。
内藤:そうですね。
井坂:根本のところですよね。面白いから作るはずなんだけれども。だから表現する。表現の自由不自由以前に、表現する喜びも感じてないんじゃないかなって。
舞原:作業になっちゃいますよね。
井坂:うん。
内藤:我々は喜び感じなきゃこんな割に合わない仕事しないですよ(笑)
一同:(笑)
井坂:確かに(笑)
内藤:肉体的にも経済的にも(笑)
舞原:ごもっともです! (笑)もっとも利率が悪い(笑)
内藤:だったら他のことやってろよっていう(笑)
井坂:時給100円だねとか言いながらやってたね。
舞原:もうマックには絶対勝てないですからね。
内藤:はははは(笑)
舞原:本当に勝てない(笑)
ヤマサキ:そうですよね。
内藤:俺、監督になって年間収入平均したらセカンドと同じレベルになった(笑)
井坂:ああー。
舞原:でも直しの後出しはつらいですね。
井坂:後出しはつらい。
内藤:Vシネでありますよ。エロス撮った時に、当時ビデ倫がうるさくなってきたことで、Vシネもビデ倫通しますって言われて、そうするとビデ倫規制がAVと同じだから、体位が駄目っていうのもあったし。そしたらその時メーカーが、いや、これもうビデ倫通さないですからって。自由に撮ってくださいって。分かりましたって撮って、完成して納品したら、やっぱりビデ倫通すことにしましたって。モザイクだらけ(笑)
井坂:(笑)
内藤:いや、Vシネだから(性器は)映ってないですよ。映ってないんだけど体位がいっぱいあるからモザイクだらけになっちゃって。汚ねえ(笑)
一同:(笑)
内藤:ほんと汚いですよ、見てると(笑)なんで俺の作品モザイクだらけなんだよ。それこそ山村一間くんが、こうヤッテるところ全部モザイク入ってんの(笑)
三島:あっ、そうなんですか。
井坂:へえ。
内藤:だけど、結局それは監督の権利侵害になるんですよね。勝手に改定があったから。
井坂:あっ、そうですよね。
内藤:で、次にやった時は、これはもう最初からビデ倫通しますって言われてて、そしたらビデ倫からクレームがワンカットつきましたと。監督立ち会わせるんですね。
井坂:はい。
内藤:まず報告から。ここを、こうこうこういうカットでこういうふうに直してくれと言われましたと。ついては何月何日に直しますけど、監督こられますかと。お任せならこっちでやりますし、こられるならと。じゃあ、いきますって言って。つまりそれしないといけなくなっちゃったんですよ。監督の方に権利があるっていうことで。
井坂:まあ本来当たり前なんですけど。
内藤:そう。それがもう本来ね。だけどそれも後出しですよねえ。だってそれは撮り方が、何もアートを主張しようってんじゃないから(笑)制限言ってくれればいくらでもやりまっせってんだけど(笑)
井坂:でもまあそういうことも含めて何なんですかね。やっぱり監督ナメられてるんですかね?
内藤:はははは(笑)
ヤマサキ:そんなつまり大変な作業してないと思われてるんですね。
舞原:あるもんを変えるだけでいいんじゃねっていう(笑)
ヤマサキ:別にモザイク入れるだけだし(笑)
舞原:だってほら、監督取っ代えきくから(笑)
内藤:それから単館系とかビデオの場合は映画育ちじゃない他業種からきたプロデューサーって多いから、そうすると本も読まなきゃ分かりませんっていう。極端に言うと撮ってみなきゃ分からないっていう。それでやっぱ後出しになっちゃうんですよ。こっちはいくらでも直しますと。商品商品、商売商売。なにも自分の世界を描かずとも、あくまでも合わせますって言ってるんだけど意見出てこないんですよ。「いや、これじゃ面白くないです」「分かりました」と。俺は面白いと思って書いてんだけど、面白くないって言われりゃいくらでも直しますと。「どこが面白くないんですか?」って言ったら、「いや、もう一回直してください」って。で、直していくと「やっぱり違いますね」って。それじゃ直せないんだ(笑)そういう人が、やっぱり本が読めない。
舞原:本読めない人多いですね。
内藤:だから本当にこっちも変えようがなく。で、いくらでも変える意思はあるんだけど、できないって言うね。
ヤマサキ:ただ、でもシナリオ読む訓練が必要だとは思いますよね。
井坂:確かに本当に訓練されてないなって。
ヤマサキ:シナリオって、やっぱり読みながら映像が浮かんでいると僕らは思ってるけれど、必ずしもみんながそうじゃないんだっていうのが分からないと、会話がなんか噛み合わない。なんで分かんないんだろうなって思いながら話してるこっち側の立場と、「いや、なんかどう解釈すればいいんですか?」みたいな読めない人との会話はやっぱりねえ、ずっと平行線ですもんね。
井坂:そうなんです。我々はね、請負で仕事してる以上は、やっぱりお客さんのニーズに応える料理人だっていう発想があるから、どういう味が好みなのか言ってくれればそれにいくらでも合わせますよって言っても、じゃあ甘いのが良いのか辛いのが良いのかもよく言えない。
内藤:美味い物でも食わせろって(笑)
井坂:美味いもの食わせろって(笑)
内藤:「どういうのが美味いと思うんだ君は?!」みたいな(笑)
舞原:一番難しいのが「売れる物」って言われた時が(笑)
三島:言われますね。
舞原:一番つらいなあ(笑)
井坂:当たりゃいいんだよとか言われてね。
舞原:それが分かってりゃ、やるよっていう(笑)
内藤:いや、当たると思って作ってますけどねえ。別にねえ。
井坂:当然ね(笑)
井坂:昔の話してもしょうがないんだけど、少なくとも僕ら助監督時代って、プロデューサーとか、それは局プロだとか制作会社のプロデューサーに限らず、やっぱりそのプロデューサーとして守るべき物はがっつり守るっていう姿勢っていうのははっきりしてたし、それが表現に関わることだと、極端に言えばスポンサーと喧嘩するぐらいの気概があった人がいっぱいいたと思うんですよね。「こんなことしたらおかしいじゃねえか!」って。それで「おかしいから俺の責任で大丈夫だ」って言ってくれる人がいたけど、今はもう、そうはならないですよね。むしろ先回りして先回りして「それやめとこうか」とか。
内藤:結局ね、昔はそれやってね、睨まれても仕事はあったんですよ。
井坂:はい(笑)
内藤:今はないんですよ(笑)
ヤマサキ:ああー、そうなのか(笑)
井坂:うるさい人やめちゃえっつってね。
内藤:使う方もそんなうるさいやつは使わなくていいやっつってね。
井坂:うん。
内藤:俺はね、昔、中田新一から言われたのは「内藤、プロデューサーと喧嘩して負けたことないだろ?」って言うから「ない」って言ったら「だから仕事ねえんだよ」って(笑)
井坂:はははは(笑)
内藤:「自分を言い負かす監督なんか使いたくねえだろう」って(笑)「たまには負けてやるんだよ。そうすると「かわいいな」つって使ってくれるんだ」って(笑)
一同:(笑)
井坂:(座談会の記録をしていた瀧本監督に)瀧やん、なんかない?
瀧本:えっ?
井坂:一番戦ってきた人間として。
三島:そうですよ。
瀧本:僕は使い分けてますけどね。正直言って。テレビで本書いてるときは「はい!」ってな感じでやりますね。
一同:(笑)
瀧本:で、やっぱり今も、降りる降りない話をやってるところですけど(笑)
井坂:それはテレビで?
瀧本:いや、映画で(笑)
井坂:また(笑)しょっちゅう喧嘩してんだよ(笑)
瀧本:××が×××だとか後出しじゃんけんで言ってくるから、それならこっちも×××だと(※生々しい発言がありましたが、刺激が強すぎるのでちょっと公には......。決して検閲ではありませんので念のため)
三島:(笑)
井坂:強いねえ(笑)
瀧本:ねえ、やっぱりその愛情とか責任とかって、実は個々の作品の事情によるんで、請負仕事的に受けてる物とか。やっぱり、脚本はテレビだと締め切りに追われちゃったりして、正直最後の最後まで責任を負ってなかったりするじゃないですか。監督がその後責任持ってやってるわけだし、それは結構使い分けて「あとはお任せします」ってやる時と、絶対譲りませんっていう時と。なんかやらしい言い方ですけど。
ヤマサキ:(笑)
井坂:まあ、でも使い分けはみんなね、それなりに。
舞原:やらしいと思いますよ。あと、喧嘩のしどころってあるじゃないですか。これは絶対っていうのと、まあこっちはいいかっていうのが(笑)
内藤:昔、後輩の監督でカラオケビデオでプロデューサーの設定に腹立てて大喧嘩になったって。そこで喧嘩するなよ!(笑)
一同:(笑)
内藤:そのエネルギーを他に回せよっていう(笑)
井坂:でもね、そういう意味でいうと、例えば舞ちゃんも一緒にやったけど大映テレビの野添さんなんてのはテレビできちっとやってきてるから、方針がはっきりしてるの。そうすると、俺にね「井坂さん。私たちぐらい真面目にテレビ見てる人はいないの。普通の人はね、こんな真面目に見てないの。だから同じこと三回も言わなきゃいけないし、バーンと音を出さなきゃいけないし」。ある意味だから明快なんですよ。だからこういうふうに作ろうっていう。その基軸があると、それに合わせてじゃあどう表現していくかってことでね。軸があって、その軸からぶれてなければ、もうあとは好きに撮ってください。で、そのかわり守りますっていうこと。これはっきりしてるんですよ。なんか軸からぶれたことをすると「それは違うって言ったでしょ」っていうことで、だからこっちも「あっ、やっちゃった」って、ごめんなさいとも言えるんですよ。
舞原:そうか、野添さんはそうですね。誰が撮っても野添調になりましたね、さすがに。
井坂:うん。でも方針がはっきりしてるんでね、だから非常に気持ち良かった。編集してても「これさあ、こう言ったけれど、やっぱりここやめましょう」って。何故そうするか、それこそシーンをドサッと入れ替えたりしてても、それは理由、理屈が分かるから、作ってても気持ちが良いし、まあ共犯者っていうか共闘してるっていう。
舞原:闘ってましたね。あの人。
井坂:そうね。これは監督一人が闘っててもなかなかね。どうしようもないっていうのが。
瀧本:昔の城戸四郎さんとかは分かりやすかったじゃないですか。「商売でっせ」と。「大船調」っていう枠の中なら、何を扱っても構わない。ホームドラマに落とし込むなら、まあ芸術だって何だってよろしい。その代わり絶対「大船調を守れよ」みたいなことがあったでしょ。だから格好良いこと言わない人の方がまだいいと思う。むしろ作品に対する愛情とか言う人の方がややこしかったりして。
三島:うーん。
瀧本:取り敢えず最初においしいこと言うプロデューサーは絶対駄目だと思う。
一同:(笑)
内藤:なるほど。
三島:なるほど。
井坂:共闘してくれなかったね?
瀧本:共闘っていうかもう、ふざけんなこの野郎って。
一同:(笑)
瀧本:結局、本当に最後まで共闘してくれる人って、まあいるとは思うけれども、信頼できる人ってやっぱり段々少なくなってきてるんで、それならむしろハナから「商売でっせ」って言われる中で、こっちがどう作品性を守っていくかっていうことの方がまだ健全なんじゃないかって思うくらい、本当に最初においしいこと言う人ってロクな人がいない。
ヤマサキ:はははは(笑)
内藤:そこにだまされるんだよなあ(笑)
井坂:何でもいいわよって言ってんのにさ、手しか触れなかったと(笑)
三島:(笑)
ヤマサキ:はははは。そこですね、なるほど(笑)
井坂:まあ、そうだよね。最初は「監督、もう好きにやってください」とか言ってて、あとで「やっぱこれ駄目です」って。だから『愛の流刑地』の時はMA室で局プロ二人並べて、お前らふざけんなって怒鳴りつけて、それ以来×テレでは仕事ない(笑)
ヤマサキ:(笑)
舞原:そうなるんですよ(笑)
井坂:呼ばれないなと思ってる(笑)。だけどやっぱり僕らはある信念持って作っていく中で、それでこの表現をせざるをえないっていう。そのことをちゃんと分かってるプロデューサーとか制作者がいて、あと何言われたっていいよ、防波堤になるよっていう。まあ、もちろん作ってる監督も当然自分のことだから、いくらでも戦いますよっていうのがね。
三島:そうですね。それがなんか両輪となって戦えれば問題ないのかなって思うんですけどね。
井坂:なんか妙案ありますかね?
三島:妙案ですか? (笑)でも、なんか監督がプロデューサーのせいだって言ったり、プロデューサーが監督のせいだって言ってても埒が明かなくて、結局のところのそれぞれがちゃんと尺度を持つっていうことでしかないのかなっていう。
内藤:そうだね。
三島:すいません、正論で申し訳ないんですけども。で、しっかり尺度を持ってる人と組むっていうことなんだなって、なんかこう、最近思うようになりました(笑)
ヤマサキ:あははは(笑)
井坂:そういうふうな感慨になった何か事件はないんですか?
三島:事件ですか? (笑)やっぱ尺度のはっきりしてない人って後出しもするし、こっからこう言われたらこうずるずる変えてほしいとか、それがまた元に戻ったり色々するじゃないですか。じゃあ、いったい何を基準にそれを言ってきてるのかっていうのが、もう基点がないので対処しようがないんですよ。それはもう人間形成の問題で(笑)
ヤマサキ:なるほど(笑)
三島:それはでも自分にも降りかかることで、じゃあこうしようかな、ああしようかなって言ってたら駄目で、やっぱり自分の中で尺度をはっきりと示せること。瀧本さんが、じゃあ自分を降ろしてから言ってくださいって言うのと同じで、自分の尺度をはっきり明示することと、プロデューサーが明示してきたことっていうのを信じるしかないかなっていう。そしたらなんか、そのあとは表現の自由のことも、なんか話し合える気がするんですよね。まあ、私まだ理想を見てるのかもしれないですけど。
舞原:あと、結局答えがないじゃないですか。正しい演出ってないじゃないですか。どれも、ならいいじゃんっていう発想なんですね。彼らは。でも僕ら作った物が唯一なんで、本当はね。それしかない。それが正しいんですね、本当は。
井坂:だからその、後で罵倒されようが何しようが、やっぱり自分がこうしたかったっていうことで作品として勝負したいじゃないですか。
舞原:っていうか、それ俺らの責任っていうことですよね。
井坂:それはこっちでいくらでも責任、でもあなたたちが勝手に規制をかけてきた挙句にね、視聴率が取れませんでした、興行成績が悪かったって勝手に監督のせいにされたらたまったもんじゃないよっていう。
ヤマサキ:でも、そうですよね。現実は(笑)
内藤:監督が責任常に押しつけられることに関して言えば、俺、ある映画作った時にちょっとプロデューサーと口喧嘩になったことがあって、そん時に「内藤、今まで売れてないけど、この作品が当たらなかったら内藤の監督生命もう終わりだからね」って言うわけよ。まあ、それは言われりゃしょうがないけれども、だけど作品がこけるということは、あんたも恥ずかしいはずじゃないのっていう意識。それを「これがこけたらね」って、人ごとのごとく言うあなたはこの作品に対する責任はないの? あなたが一番恥ずかしいでしょ。プロデューサーとして、作品こけたら。その意識がないんだ。自分の作品って意識がないんだよね。だから彼だけじゃなくて、今プロデューサーで、日本のプロデューサーで自分の作品としてどこまで責任持ってるやつがいるのかなっていうね。非常に大きな問題じゃないのかなっていう気がするんだよ。
井坂:ああ、それはでも本当にプロデューサーって、なんかサラリーマン化してきてる人もいっぱいいるし、どっかで責任が分散しちゃってるような気がしてね。
舞原:正に、「製作委員会」ですね。
ヤマサキ:そうそうそう。何人もいるからなあ(笑)
井坂:誰の意見がイニシアチブで、でもその人の言ってることが本当に「製作委員会」を代表してるのかどうかもよく分かんないっていうようなケースもあるし、それでもって好き勝手なことだけ、要するに製作側に都合がいいことが、やれそれは表現上問題があるとかって言葉をすり替えられて監督に下りてきてるっていう。で、こっちはいったい誰と話をすれば本当の思いを伝えられるのかとか、じゃあ本当にそれをやってくれるんですねと。じゃあ、この人かと思ってやってたら、どうも違うぞっていう(笑)
ヤマサキ:(笑)
井坂:いざとなったら、なんか違うぞっていう。そういう意味でさっき内藤さんもおっしゃった共闘してくれる人っていうのがね、本来いなくちゃいけないんで。
内藤:本来、当たる当たらないはプロデューサーの役目だろうっていうね(笑)俺はもうそれなりの納得する作品を納品してるんだから、あとはあなたたちにお願いしますよっていうことなんでね。
ヤマサキ:宣伝費のかけかたによっても全然違いますからね。売れるか売れないかはね。
内藤:だって、その作品に関しても、どの映画館いってもチラシ置いてないんだもん。ミニシアター公開なんだから普通はチラシ持って回るだろうっていうね。結局どこにも見ない。どこの映画館にも。チラシは作ってあったけど。どこの映画館でも見なかった。
井坂:あっ、そうですか。
内藤:挙句に本当に公開打ち切りになったし。そういう地道なことを宣伝部もしないんだろうなあ。
井坂:いや、だからそうなってくると結局、やっぱりね、愛情ないんだよね。
内藤:そうそうそう。
井坂:だから自分の子供というか、自分の作品っていうことじゃなくて、内藤さんのは内藤さんが作ったって。監督の作品ですみたいな。ほったらかし状態。人ごとっていうのかね。
ヤマサキ:そうですね。
井坂:でもこういう話、もしウェブで読んだ映画好きの子たちっていうか若い子たちって、もう大手と作るの面倒臭いから、もう非常に個的な映画を作るようになっちゃうのかな。
ヤマサキ:ああ。
内藤:今もうできますからね。
井坂:ねえ。自分一人で作って編集してね、で、それこそYouTubeかなんかに乗っけといて。
ヤマサキ:そうですね。
舞原:確かに、アニメ一人で作ってる人もいますもんね。
ヤマサキ:ああ、今できますからね。ただ、やっぱり長尺の物を一人で作るのって相当大変なので、まあそこはね。ただ実写って、本当に好きな人たちが集まれば撮れちゃうじゃないですか。
井坂:うん。
内藤:だってあの、この間『遭難フリーター』見たけど、一人で一年間自分を記録して小屋かけちゃうんだもん。製作費テープ代五万円ですって。
ヤマサキ:(笑)
内藤:パソコンで編集してるわけだから。で、また面白いんだこれが。
ヤマサキ:へえ。
井坂:なるほどねえ。
内藤:派遣の自分を一年間、根性すごい、一年間自分を記録して、で、監督になった途端に派遣クビになって今またフリーターですって(笑)
井坂:はははは(笑)
ヤマサキ:でもね、結局お金かけたから面白い物が撮れて、お金かかってないから面白い物が詰まんないってことではないから映画って。それこそアニメもね『鷹の爪』見ると、すっげえよく作ってるなと(笑)フラッシュで作ってこんだけなんか笑える物が作れるんだったら、もうなんかフラッシュの時代だよってプロデューサーに言われて。えっ、それはちょっと違うんじゃないのと思うけど(笑)
内藤:だって今学生で、映像科の学生なんかCGでアニメ作れって言ったら簡単に作れますもんね。
舞原:ああー。
ヤマサキ:実際、作れちゃうんでね。
内藤:だから俺なんか本を教えにいく時にいつも言われんのは、もう画は誰でも作れんだよって。技術はあるんだよって。だから何をやるかを教えてくれっていうことで呼ばれていくんだけど。
井坂:その何をやるかに今度ね、肝心のところに制約がかかってくるってのが非常にむかつくなっていう(笑)
舞原:本当ですよねえ。
井坂:せっかくですから最後に一言ずつ。じゃあ、まず論客のヤマサキさんに(笑)
ヤマサキ:いやいや、全然論客じゃないんで(笑)。アニメーションの場合はね、海外からの色んな圧力があるので、ただバランスを保ってほしいなと思いますよね。色んな意味で。その、すべての、まあ表現の方法もそうだし、それぞれの監督とプロデューサーの役割もそうだし。バランスが崩れてるんで、どんどん変な方向に抑圧されてずれていっちゃってて、結果がなんか本末転倒になっていってる感じがちょっとするんで、もう少しこう客観的に引いて、どこまでが本当に駄目で、どこからが良いのっていうのも、なんかね、人が言ってるからとかじゃなくて、自分で判断していってよっていうところはプロデューサーに対してはあるし、自分に対してもあるかなとは思いますけどね。はい。
井坂:じゃあ、舞ちゃん。
舞原:えっと、難しいな。僕、実はそんなにね、窮屈な感じは今してないんですよ。うちの師匠の影響だと思うんですけども、映画ってのはプロパガンダに使われるのが多いから、なるべくそういう直截な表現はやめなさいと。もう、エンターテイメントを作れと。で、その中に自分の芸術性なり思想なり宗教なりを入れていけっていう方法が洒落てるよって言われてて、僕はずっとそう思ってる。でも、直截的な表現をしたいと思ったら、今ものすごく不自由だろうなって想像します。はい。
井坂:じゃあ、内藤さんにちょっと伺って。
内藤:俺、ここんとこ何年か監督してないんでね、現在の状況ってのがあんま分からないんだけど、やっぱりね、さっきも言ったけど基本的に映画の場合は映画館で見ることを前提に作っているから、そこでビデオで見てガッと入り込んで犯罪犯しちゃったとかいうこととは別だと思うんだよ。それはすべてを社会現象が起きると映画のせいにする。必ず犯罪を犯した人が家にビデオがあったとか、そういう発想をもうやめてほしいなという。すべてを映像のせいにするなよという。確かに映像は力あるけど、もっと言うとそれを見たために犯罪を犯さない人が僕はいると思う。
ヤマサキ:まあ、そうですね。
内藤:あの、人殺しをしたいなって思ってる人が人殺しの映画を見て発散されたと。もう、レイプしたいなと思ってる人がポルノ見て「あー、良かった。発散された」って人がいると思う。だけどそういう人は数字出ないのね。犯罪は数字出るけど、抑えた人の数字は出ない(笑)
ヤマサキ:ははは。そうですね(笑)
内藤:どっちが多いのっていう、そういうことも考えてくれていいんじゃないのというお願いがあるんですよね。だから全部を映像のせいにしてほしくないっていうのはありますよね。
井坂:はい。じゃあ三島さん。
三島:まとめって難しいですけど、個人的にどう思うかっていう話なんですけど、もう絵を描くのも、なんだって表現って制限があるって思うんですね。基本的には。なので、その制限が逆に面白くなったりすることもたまにすることもあるので、もう基本的には自分の尺度をしっかり持って戦うべきところは戦うし、そういう相手と仕事をしたいということに尽きるかなと、今の時点では思っています。はい。
井坂:そうですね。
三島:うん。
井坂:まあ、僕なんかもほんと、結局ね、何を作るかっていうのは、やっぱりそれはモロにその人間の持ってるものが出ちゃうところで、それは監督ってのはある覚悟を持って表現しようとしてるんで、性描写にしたって暴力にしたって覚悟を持って、それを使ってやりたいっていう。そのことをちゃんと理解してくれてね、理解した上でなおかつそれはこの基準だと駄目だとか言うんだったら分かるんだけど、そういうことも理解しないでただ闇雲に、もうなんかこう一律に線引きするようなことっていうのは。とにかく一番嫌なのは、じゃあ誰がそれを言ってるんですかってことに対して、実は誰も明快な答えを出せないっていう。これは続いていくと、誰か、なんかもっと違うところに、どんどんどんどん「いや、誰かが言ってる」「誰かが言ってる」「誰かが言ってる」って言ってる内に何もできなくなるっていう。そこにいく前に、なんか本当にちゃんともう一回僕たち自身もやらなきゃいけないんだなと。ただ本当に一人一人でやることってのはきついところもね、いっぱいあるんで。まあ、ほんと協会として頑張らなくちゃいけない正念場にちょっときてるかなっていう。いずれ、なんかもっと嫌な感じのことを言われるかもしれないなっていうね(笑)
ヤマサキ:(笑)
井坂:そんなことはね、ずっと思ってますよ。まあ細かいことの積み重ねの裏に実はっていうのがね、出てくる気はしてて。
ヤマサキ:まあね。だんだん真綿で首を絞められてる感じありますもんね(笑)ふふっ、今はまだ苦しくないみたいな(笑)
井坂:ほんとそう。いつの間にか窒息してるよっていうね(笑)
ヤマサキ:意識が遠くなってきたぞ、みたいなね(笑)
井坂:せっかくだから瀧本ちゃんも。
瀧本:本当にやりたいことがタブーに抵触するような時は、それはやっぱり、それに則したというか、覚悟を決めて理論武装をしっかりやる必要があるでしょうね。僕も舞原さんと同じで、今のところさほど不自由を感じることはなかったけど、ただしつこいようですけど、最初においしいこと言うやつは......、
一同:(笑)
ヤマサキ:それですね(笑)
舞原:今日の締めか(笑)
ヤマサキ:それです。
井坂:いや、大事なところかもしれない(笑)
三島:確かにね(笑)
舞原:そこ赤線! (笑)
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