
表現の「不」自由を語っちゃおう! 【7】
第七回 マルチメディアは創造破壊?!
映画は映画館で見るべし!
内藤:それこそテレビと映画じゃないけど。よくね、あの、映画見て犯罪犯しましたとか......。
舞原:ええ。
内藤:あるんだけど、だいたいビデオで見てるんですよね。つまり、俺これ自分の持論なんだけど、映画館で見ると殺人見てもレイプ見ても、その時は興奮入ってても、ぱっと電気ついてお客さん周りにいて、それで外出ると「ああ、映画だったんだ」って戻れるじゃないですか。自宅でビデオで一人で見てると終わってもそのまま引きずっちゃうんですよ。
舞原:ああ。
内藤:だからね、非常にビデオ文化ってのは危ないなっていう気持ちがしてるし、だから映画は映画館で見ましょうって(笑)
ヤマサキ:はははは(笑)
井坂:なるほどね。
舞原:一説によると反射と実際に光ってる物の人間の脳の捉えかたは違うって。
内藤:それ大林さんがよく言いますよね。
井坂:へえ。
舞原:だからスクリーンに映して反射してるのと、テレビ、ブラウン管が光ってるじゃないですか。それは違うんだっていう。
内藤:意外とビデオ文化っていうのはね、非常に危ない物を持ってんじゃないかなっていう気は......。
内藤:俺なんか『仁義なき戦い』をテレビで見た時にやっぱり気持ち悪くなりましたもん。
舞原:はいはいはい(笑)
内藤:(笑)
井坂:だからテレビで見ちゃいけないんですよね。逆に言うとね。
内藤:そうなんですよ。なんか映画館で見たときは「すっげえなあ!」と思って興奮したのがテレビで見ると「やめてくれ」っていうね(笑)
舞原:確かに。
井坂:テレビってね、見ると本当に目がぐるんぐるんになっちゃうっていうのは。
舞原:こう見る物とこう見る物の違いなんでしょうね。集中するのと、こうやって、映画館って見回せるって、どっかを見るって言うじゃないですか。テレビ全部ですもんね。だいたい。
三島:(笑)
ヤマサキ:メディアもね、多様化してきたんで、テレビと映画っていうレベルだけじゃなくて、ほんと今ね、携帯でBeeTVで5分くらいのショート作品いっぱい出すじゃないですか。もう、なんかこう、考え方とか作る側の意識も変えていかないと対応できないですよね。
舞原:うん。
ヤマサキ:映画だったらこうは撮らないっていう話ではもうなくなってきてるんで。
井坂:まあ、正にほんと、俺も携帯配信の五分ドラマとか撮ったよ。
舞原:サイズ困りませんでした?
井坂:いや、もうねえ、もう。
舞原:引いたら分かんないんですよ。何が映ってるか(笑)
ヤマサキ:ああ、そうですよね。小さいからね。
舞原:しかもインターネットでも見れますって言うから、インターネットはでかいじゃないですか。で、DVD出しますって。
井坂:うん。そうなんだよ。
舞原:DVDはちゃんとテレビで見れて、しかもインターネット配信が10分配信と1分配信がありますっていう(笑)
井坂:1分配信? うわー。
舞原:もう全部切らなきゃ(笑)
ヤマサキ:それすごいね(笑)
舞原:どれに合わせて撮ればいいですかって話。
ヤマサキ:ああ、そうだよね。
内藤:俺、昔それこそネットドラマ、5分ごと放送するの、まとめて見てって言われて、見たらつまり5分ごとにもう。
ヤマサキ:山が。
内藤:山があるから、通して見るとただただ一本調子で、途中で飽きてきちゃってもう。
舞原:そうですよね。
井坂:そうせざるをえない。
舞原:そうせざるをえないんですよ。やっぱり次に見てもらいたいんで、何か起こったってとこでピッと終わる。
内藤:じゃあ、これまとめてDVDで売りますって作品として成立するのっていう。
舞原:きつかったです。あの、多少別のを撮ったんですけど、きつかったですね。
内藤:だから俺、作家でね、新聞小説偉いなと思うのは新聞で小出しで小出しでやって、それ単行本にしてっていう。直してる人もいるだろうけども。あれはどういう才能なんだろうなっていうね。
井坂:そうですよね。新聞小説もね。
ヤマサキ:あれはすごいですね。でも週刊の漫画なんかもそうですけど、週刊漫画用のフォーマットで描いてる物が単行本になって面白い人と、やっぱりつらいなと思う人といますもんね。週刊誌で見てると、なんかね、必ず細かい山があるんで見てられるんだけど、なんか週刊誌で読んでた時のイメージと単行本になった時のイメージが全然違うっていうのは、映画もね、多分そのBeeTVで流れた5分フォーマットのやつをDVDで売られたらきっとこれと同じ状況になるよなっていう(笑)
舞原:確かに。
ヤマサキ:音楽とかがね、全部入れ直せるんだったらまた別でしょうけど。
井坂:だからそういうところも本当だったら目的が違うわけだから別に作んなきゃいけないわけだけど、それはお金がないから。
ヤマサキ:はい(笑)
井坂:一本で作っといて、あわよくばっていうね。でも本来それは全然違う物ですよっていうことを、もっと俺らも言ってかなきゃいけないんだなと思いながらできないね。
ヤマサキ:で、そういうのが市場のメインを占め始めると、それで育っちゃうとそういう物だと思っちゃうじゃないですか。だから「昔はそうじゃなかった」ってね、段々おじいさんみたいに僕らもなっていくじゃないですか(笑)
内藤:『マヌケ先生』って映画撮った時に、これ最初に決まってたのは、最初はテレビ放映ですと。中国放送何十周年記念の。だからテレビでカット版、つまり九十分枠で放送しますと。正味七十何分ですと。で、映画は完全版。どんどん九十分以上になっていいんです。ということでスタートしてるんですよ。だから、僕考えたら脚本の段階から、ここのシーンはテレビではカットする。もう決めてかかりましたもん。そうしないと映画で、テレビでは二十分以上切らないといけないってのが頭にあったから、それを細かく切ってったって始まんないから、もうエピソード切るしかないなと思って、で、映画用のエピソード、テレビ用のエピソードを。テレビ用ってか、映画では全部使うんだけど、ここでテレビではこのエピソードは絶対見せないっていうところを決めてやらないと成立しなかったよね。で、サイズに関してはこれはしょうがない、これはあの。最後まで決まらなかったのは(上下に黒みを入れて)ビスタで放映されるのか、あの、(左右を切って上下)いっぱいいっぱいになるのかが。テレビ用にMAをしてる時に「どうしましょう?」になっちゃったわけだ。上下、こっちとしては黒帯で出してほしいんだけど、一応テレビ番組だから、やっぱり広い方がいいだろう。じゃあ、分かりましたで、それはだから考えて撮ってなかったんで、とにかくもう細かく細かくトリミングしながら、もう本当にワンカットごとトリミングしながらやりました。カメラは今関だったけど、立ち合いで「これにしよう、これにしよう」。で、移動してるとこなんか本当にもう移動に合わせてトリミングを、却ってこんな揺れたりして(笑)
井坂:なるほど。
内藤:だからサイズは困りましたね。あの、内容に関してはテレビ向きで考えたけど、サイズに関しては。
井坂:あっ、そういう意味で今一番困るのが、要するに16対9で撮って、地上波は4対3で流されるじゃないですか。あれは現場としてはものすごいつらいですね。もうあれ何年経つの? 10年くらいその方式でやってる。だから結局16対9の画をフルで使ってもらえればいいんだけど、そうじゃない限り4対3のフレームに入れとかなきゃいけないでしょ。そうすると余白が、今地上波デジタルになったら横長で見てるけれども、あれは表現上ものすごくつらいですね。
ヤマサキ:デジタルと地上波ってまだ一緒に流れてるから、結局地上波は左右切れてて、デジタルの方はちゃんとフルで出てたりとかってしますもんね。
井坂:本当に地上波のアナログ放送も、だから16対9なら16対9に統一してほしいんです。あれ本来別物だっていう発想だし、極端に言ったらテロップの入れ場所だって4対3と16対9じゃ変えたいじゃないですか。
内藤:そうですね。
井坂:で、そのことを言っても全然テレビ局はね、うんともすんとも言わないですからね。
ヤマサキ:はははは(笑)
井坂:いや、それで何でかって聞いたらそれこそね、NHKの視聴者が黒みに金払ってないって文句言う。
ヤマサキ:ええっ(笑)
井坂:っていう話なんですよ。ほんとに(笑)
舞原:えっ、要するに画面が。
三島:ああ、なるほど。
井坂:黒みにお金を払ってないっていうね。
三島:面白い言い訳考えますね(笑)
内藤:はははは(笑)
井坂:というふうにクレームがくるんですって(笑)で、なんかそれで他も横並びっていうかね。
三島:ふーん。
井坂:でも映画版の『クレヨンしんちゃん』を(上下黒で)やってるじゃないですか。
ヤマサキ:本来ある物を左右切っちゃうじゃないですか。ある物切っちゃうのはいいの、無駄にしてんだよみたいなとこって僕なんか結構ありますけどね。
内藤:切られた分に対して視聴率戻してくれっていう(笑)
井坂:本当ですよね。
三島:でもNHKの時に上下切ったことありますね。
井坂:いわゆるそれはハイビジョンの16対9でそのまま。
三島:はい。
内藤:ハイビジョンになってからはね。結構。
三島:うん。ハイビジョン導入されてから、それやったことがあるんで。
井坂:それこそ16対9と4対3は本来別物なのに平気でそれを流してるっていう。要するに表現、そこに映された物に対しての愛情を誰も感じてないのって。
ヤマサキ:もう機械的に切られちゃうから(笑)せめてこのシーン右に寄らせてくれよとか、左に寄せといてくれればまだ成り立つのになと思うのが、全部ばっさり切られるので、中途半端にこのへんが切られてたりするじゃないですか。
井坂:あの、ある局で何年か前に、もう地上波全部16対9でアナログ放送もやるっていうこと前提で俺二時間撮ったことあるんですよ。だから思いっきり16対9で作ってたら、やっぱり時期尚早なんで14対9で放送しますって。
ヤマサキ:(笑)
井坂:ええーって。それで、だからその時はやっぱり全部を編集室入って、明らかにおかしいところはもう、ナメをいっぱい寄せたりしてね。
ヤマサキ:そうですよね。
三島:うーん。
井坂:でもあれはほんと非常に不愉快でしたね。だって作らしといた挙句に。っていうことは映ってりゃ良いだろってこと。
内藤:これちょっと表現の自由から離れますけど、昔あの映画学校でスクリーンサイズの話をしてたんですよ。スクリーンにはスタンダードとビスタとシネスコとあるよねって言って。きょとんとしてるんですよ。いや、だから分かるでしょって。「あっ、あのテレビの上下黒くなる、あれがシネスコですか?」って。お前ら映画館で映画見たことないだろって。
井坂:はははは(笑)
ヤマサキ:はははは(笑)
内藤:そうなんですよ。
井坂:へえー。
内藤:「シネスコって狭くなるんじゃないんだよ。広くなるんだよっ!」って(笑)それが映画学校の生徒として、プロになろうとして来てるんですよ。
井坂:いやでも笑えないのは、僕前聞いたのは、あれですよ、スタンダードでね、要するにスタンダードで16ミリで撮ってどっか地方の小屋で映写かけたらビスタで上下パーンと切られたんだって。それで劇場に文句言って「俺のはスタンダード」「いや、スタンダードでかけてるじゃないですか」って。もうビスタがスタンダードになってる(笑)
内藤:いや、だってあの俺脚本書いた大林さんの『四月の魚』はスタンダードで撮ってるんですよ。でも完成披露試写、ビスタでした。
井坂:ええっ。
内藤:始まって「えっ?!」って、大林さんすぐ映写室飛んでったけど。だけどちょっと待てよと。完成披露試写でビスタでやっちゃうということは、小屋でやる場合これでやる小屋は出てくるはずだと。これで成立しているか見てやろうと思って(笑)
井坂:なるほど(笑)
三島:うーん。
内藤:なんで映写室いってとめなかったんですかって言ったら、ちょっと見てみたって(笑)だから予告編はねビスタで作りました。あの、これ予告編に関してはね。まあね、封切りはもうこれはスタンダードですよって小屋に言えばいいんだけど、予告は絶対ビスタで上映するなって思ったから、もう予告はビスタにしますって。
ヤマサキ:さっきオンエアと販売用の違いの話しましたけど、何ていうんですかね、テレビで4対3で流すのはあくまでもCM的な意味合いで流されて、で、デジタルの商品とかで16対9の完成版が見れればいいじゃないですかみたいなところがあるんですよ。販売メーカー側って。
井坂:ほお。
ヤマサキ:だからテレビに流れるのは、ちゃんとした物じゃない方が逆に言うと良いみたいな。
舞原:お得感が。
井坂:それはアニメの場合?
ヤマサキ:アニメの場合はすごくありますね。で、そういう言われ方もよくしますね。ただ、テレビしか見ない人だっていて、テレビで評価されるじゃないですか僕らは。メーカーさんは何本もある作品の内の一本で、それがヒットしようがしまいがね、まあ他にヒット作があればいいっていう考え方かもしんないけど、僕らはこれヒットしなかったり評価が悪かったら次の仕事に全部繋がっていくのに、その考え方はどうなのっていう気はしますけどね。明らかに完成版じゃない物を予告編的に、どうせ全部流すんだから完成してない方がいいですみたいな。だから、作り直してくださいって言われますもん。後でそれこそパッケージになるように、問題があって直すだけじゃなくて、アニメーションって作画で直し切れない物がいっぱいあるんですよ。キャラクターが表情が崩れたり良くなかったりっていうのを、ぎりぎりまで直したいんだけど、「もういいです」みたいな(笑)「いやいや、後でDVD用に直してください」みたいなんで(笑)また二度手間で全部直したりとか。そこにまたお金がかかってくるんですけど。で、そこで手間がかかる分全部持ち出しで僕らが直さなきゃいけないみたいな。
三島:今ね、テレビ番組見ても平気でYouTubeにアップされて、見れますよね。
舞原:そう。YouTubeで見てるって人も結構多いし。
ヤマサキ:いますよね。最近だって宣伝になるからっていって、あえてOKにしてるメーカーもあるじゃないですか。
内藤:いや、流してるところもありますよ。
ヤマサキ:だから自分たちである程度タイミングで流したりしてるところもあって、で、ねえ、放映前に流されてて大揉めになったことありますけど(笑)
井坂:そりゃそうでしょう。
ヤマサキ:あれ、だって絶対関係者じゃなきゃ流せないよっていうタイミングで流れてくるから。放送もしてないのになんで流れるのっていう(笑)
舞原:ははあ。放送前ですか。そりゃ大問題だなあ。
ヤマサキ:明らかに確信犯で、「間違えてアップしました」って言ってるけど、見え見えの話題作りのためにやってるよねっていうのを、逆に言うとスタッフ側からブーイングで言われてて(笑)
内藤:だってスタッフの書き込みで「予告編はYouTubeで見れます」って書き込みずいぶんありますもん。
舞原:ああー。
内藤:HP立ち上げるんじゃなくて、もうYouTubeに流しちゃう。
舞原:なるほど。なるほど。
井坂:なるほどね。そうなってくるとね、ちょっと本末転倒な気もしてきますよね。
ヤマサキ:だから、規制をされてるのも、なんか自分たちでそういう状況を作っちゃってるのかっていう、そこらへんの問題もありますけどね。
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