
表現の「不」自由を語っちゃおう! 【3】
第三回 ザ・ワイセツ
内藤:今、大学生に教えてんだけど、黒木さんが亡くなった年に、黒木和雄監督の、じゃあ、『祭りの準備』見ようかって、まあシナリオライターの話だし見せて「感想どうだった?」って聞いたら、「あのう、こんなに裸がいっぱい出てくる一般映画初めて見ました」って言う。「ええっ?!」って(笑)
舞原:『祭りの準備』ぐらいで? (笑)
内藤:『祭りの準備』で。別にこれ当たり前......、この程度。ちょっと気がついたら「あっ、最近日本の一般映画で裸が出てくる映画ないなあ」って。ないんですよね。
舞原:少ないですねえ。
内藤:そのちょうど後くらいに浦山さんの『夢千代日記』見たんですよ。そしたらもう裸のオンパレードなんですよね。中島葵さんは裸でストリッパーで出てくる。浜村純さんは裸の芸者に襲いかかる。逆にこっちが「小百合さんの映画でこんな裸出ていいの?」っていう意識で見ちゃったんです。あれ、俺もちょっとなんか洗脳さ れてるかな。だけど考えてみたら70年代ってのは裸が出て当たり前なわけですよ。裸が。それこそ『メカゴジラの逆襲』に藍とも子が脱ぐシーンがあったりとか、ある種これはブーム......、ある種正にロマンポルノを頂点とするブームだったのかなという気もするし、テレビもそうなんですよ。テレビもその頃結構、二時間物とか、あとはその昼帯でも『赤い殺意』で視聴率、昼間に20何パーセントいったのは毎回裸が出てくるからだっていう。ところが映倫が規定を細かくし始めたんで、一般映画、もしくはR15をとるためには裸見せちゃいけないみたいなのになってきたのかなっていうね。そうすると、今度はその裸が出るということイコール若者に対してはポルノなんですよ。一般映画で裸が出ないから。
井坂:ふんふん。
三島:うーん。
内藤:そういうのが映画学校や大学の芸術科来てる学生なわけですよ。で、こいつら妙に純粋培養されちゃって、裸見てびっくりしてる。裸見たらポルノだと思ってる。ましてピンク映画見たことないんですよ。今の学生っていうのは
ヤマサキ:そうなの? (笑)
内藤:ないんですよ。いわゆるピンク映画ってのはAVだと思ってんですよ。AVは見てる。女子大生含めてみんなAVは見たことあるんだけど、ピンク映画を一本も見たことないっていう。99パーセント見たことないんですよ。だから、ピンク映画館ってのは、AVがかかってると思ってるんですよ。だから、俺一度自分の撮ったピンク映画を、ちょうど男子学生しかこない日があったんで、じゃあ今日はもう授業やってもしょうがないからってビデオで見せたんですよね。見て「どうだった?」って聞いたら、「映画みたいでした」って。
一同:映画みたい(笑)
内藤:いや、あのね、映画なんだよ(笑)これ映画なんだよって(笑)だからちゃんとね、女優さんも前張りして真似だけしてるんだよって。彼らにとって裸が出てそういう絡みをやるということは本当にやってることなんですよ。AVしか見てないから。
ヤマサキ:なるほどね。
内藤:これからプロになっていこうという人たちが裸イコールポルノだと思っちゃってるということがものすごい問題なんじゃないかなっていう気がしてるんですよね。
内藤:それと、今は18歳未満の裸はもう駄目だ。だから『転校生』、この間、俺リメイクの脚本書いたんだけど。前は小林聡美のおっぱい、当時15歳でおっぱい出してたよね。今もう、これはちょっと。大林さんと話したんだけど、ちょっと今無理だろうっつって。
舞原:それは幼児ポルノになるという?
内藤:幼児ポルノになっちゃう。
ヤマサキ:あっ、そうなんだ。
三島:ふーん。
井坂:えっ、あれでですか?!
舞原:見えることでもう駄目なんですよね。
内藤:当時もやっぱりね、ちょっとどうしようかってあったんですよ。設定中学3年生なんですよね。で、俺探してたんだけど、ちょっと待ったと。中学3年生脱がすとまずいぞっていうことで。実際、竹田かほりがヌード写真、捕まってるんですよ。それは竹田かほりのマネージャーから聞いて、「ちょっとこの作品あんた無理よ」 みたいなこと言われて、どうしようか。色々法律関係調べたら中学生はやっぱりまずいと。だけど高校生以上になると、つまり義務教育は終わってるから、中卒で仕事してる人いっぱいいるし、中卒で仕事で女優やってますっていう人もいるわけだから、高校生以上だと自分の意思でやりましたっていうことなら大丈夫じゃないか。つまり言い逃れはできるんじゃないかっていうことで、あの、親の許可と先生の許可を取っとけと。映画で脱ぐということに対してと。だから小林聡美は先生の許可と親の許可を文書にして、それを常に現場で制作主任が持ってろと。
舞原:はあー。
三島:ふーん。
内藤:なんかあった場合に、ちゃんと保護者の承認を得てますと。だけど聡美は先生にただ映画出るからOKくださいって言っただけで脱ぐとは言ってないんだけど(笑)
ヤマサキ:ははは(笑)
内藤:まああれは脱いでんだけど、今回リメイクするにあたって、聡美の場合は脱げる子ってことで探したんだけど、今回は蓮佛美沙子でやってくれっていうことがあったから、まあそれはもう脱ぎはないだろうなと。実際脱げるっていう子がはたしてきた時に、今脱がせられるかっていうとやっぱりまずい。15、6の子をやっぱりち ょっと裸にはできないでしょう。
井坂:っていうか、あれですよね。それこそ昔だったらば17、8でねえ、ばんばん脱いでたじゃないですか。
内藤:『八月の濡れた砂』のテレサ野田は、あれは15歳だった。あれはあの当時でもやばかった。あれは18だと嘘ついてたんですよね。で、映画完成した後、実は15歳だったっていう。パキさん(藤田敏八監督)がもう、引っくり返りそうになってたって(笑)
一同:(笑)
内藤:当時でもやばかったんだって。だから今本当にね、だからねえ極端に言うともう「『転校生』ビデオソフト発売できるの?」っていう。昔の。
井坂:へえー。でもあのカット鮮烈な記憶ですよね。
舞原:いや。「度胸あるなー、こいつ」と思って。
内藤:恐らくもうあれテレビ放映できないんじゃないですか?
舞原:ああ、そうですか。
井坂:例えばその、あの映画の面白さって、あれで語れるじゃないですか。男の子と女の子が入れ替わっちゃって、もう女の子の体持って面白がっちゃって、こうパーンってやるって。本当は女の子がやってんだけど男の振りして。あの度胸って、あれがなんかその映画の面白さ。そのカットなくなったらあの映画はっきり言って要 らないっていうくらいにね、それくらい重要なカットなのにも、例えばそういうことで切り捨てられてくってのは、なんかすごく......。
内藤:今の、今度新しい法案が通るとちょっとやばいんじゃないの、と。
舞原:それどこが駄目って言うんですかね?
内藤:いや、要するに単純に18歳未満の子を裸にしてはいけないと。
舞原:幼児ポルノ。要は法律で駄目だと。
内藤:まあその法律が......。
井坂:青少年保護ってやつですか? 例の。
内藤:一回廃案になって、また今。
舞原:持ってるだけでも罪になるんですよね。
内藤:そうそう。すると『転校生』のビデオ持って、そういうふうになっちゃう。極端に解釈するとね。それはだからその権力者の判断によっていくらでも解釈できるわけですよ。
舞原:ちなみにアニメで、いわゆる幼女ポルノ。幼児ポルノって駄目じゃないですか。
ヤマサキ:ああ、はい。
舞原:で、いかにも幼女なのに二十歳以上だって言い張って。
ヤマサキ:ええ、そうですね(笑)
舞原:あれって規制みたいのはあるんですか?
ヤマサキ:ここにきて外国からヨーロッパ方面から、日本の、まあポルノアニメがインターネットで勝手に配信されてて、教育上よろしくないっていうことで、相当こう国の方にも圧力がかかってて、で、アニメ業界の方でもまあ規制をしようっていうことに動きとしてはなってますね。ただ、やっぱりその、なんていうんですかね、 そういう物が欲しくて買ってる人がやっぱり相当数いるんですよ。で、じゃあそこ向けて作ってることに対して、お金を出してでも買いたいって人たちに対して作ってるのが勝手にコピーされてインターネットでばら撒かれてて、それを勝手に見てる人たちに対して国が規制をかけるっていう状況が「どうなの?」っていう。じゃあそういう話したら、本当に実写のその、もう全部モロに見えてる海外のああいう物は、じゃあ教育上よろしくないっていう、いや、これは大人がやってて子供じゃないからっていう、そのデフォルメされたキャラクターが明らかに子供にしか見えないから問題なんだっていう話になった時に、海外の人たちから見ればそれこそ日本の二十歳くらいの女性って子供のように見えたりするじゃないですか。
舞原:うん。
ヤマサキ:「じゃあそれはどうなの?」とか、そういう議論になっていった時に、じゃあどこまでが線引きとしてOKなのかっていう。まあ別にね、僕なんかは別にアニメーションでかわいい女の子を描いて、それにAVみたいなことをやらせる必要はないっちゃないかなとは思うけれど。ただ、そこにやっぱりお金出してでも欲しいっていう人がいるのもまあ事実だったりするので、それで商売してる、まあメーカーさんもあるわけですよ。で、それにね、売り上げにものすごく影響が出て、やっぱうちはそういう作品を売って商売してる人たちがね......。
内藤:結構大きいですよね。市場が。
ヤマサキ:大きいですね。アニメーションの、本当に逆に売り上げベースでいくと半分くらいそういう物が占めてる可能性もあるかなとは思うんですけどね。
内藤:だって秋葉原で買い物にいってね、たまにそういう店覗くとほとんどが揃ってるの(笑)
舞原:いやー。正に実写だったらすぐコレ(手錠のポーズ)になっちゃうんで(笑)
内藤:まあそうですよね。
舞原:アニメでやるしかないっていう(笑)あと最近、深夜のアニメってあるじゃないですか。で、DVDとオンエアが違って......。
ヤマサキ:ああ! 違いますよね(笑)
舞原:お風呂入ってると必ずおっぱいのとこに湯気がこう......。DVDだとそれがちゃんと見えてるんですけど、あれは何かあるんですか?
ヤマサキ:あれは、別に作り直してますよね。DVD用とオンエア用は別素材を作ってて、で、DVDはもう本当にお金を出して買ってくれるその、ね、秋葉原系の方々向けみたいな物ってあるので、するとそこのユーザーが求める物に最初から作ってるんですよ。ただオンエアできないので、そのままだと。
舞原:オンエアできないんですか? 規制があるんですか?
ヤマサキ:そうですね。テレビ局の自主規制だと思うんですけど、やっぱこれ以上は。オンエア用と別に素材を作って、そのカットだけ作り直したりして。だからマスターが二本あるんです(笑)
舞原:非常に違和感ありますよね。この、もやもやもやっと。
ヤマサキ:(笑)すごく不自然にあったりするじゃないですか。
舞原:風呂場ならまだ良いんですけど、外でももやもやが。あのもやは一体! (笑)
ヤマサキ:アニメーションって全部自分たちで描くので、見せちゃいけない物は描かないですね。ただその、あれですよね、テレビで局のプロデューサーにもよりますけど、本当にちっちゃな女の子、ワカメちゃんみたいな短いミニスカート履いてて下からちょうちんパンツみたいのが見えてるようなキャラクターを、デザインでOKが出てるにも関わらずその子のパンチラを見せちゃいけないって。いやいや(笑)これカメラがちょっと下がったり、こけたりすると、どうしたって短いから見えるじゃないですか。これ見えないように描いてくださいって、じゃあ全部こう俯瞰で上の方から撮らないと、普通にこうカメラ下ろしてしまうと全部見えてしまうんですけど、みたいな。いや、それをもう少し長めに描いてくれとか。だったらデザインの段階からNG出してくださいよっていう(笑)
舞原:それ、スカート長くしてもいいんですか?
ヤマサキ:そう言われるともう、だからしょうがないんで。作る前に言ってもらえればいいんだけど映像になってからクレーム出て、もうしょうがないからその子が出てくるところだけ全部今度はデザイン変えて長くしちゃうとかね。
一同:はあー。
舞原:もしくはアングルを。
ヤマサキ:アングルを。うん、だからアングルを変えるってことはアニメーションの場合は絵を全部、素材を描き直さなきゃいけないんで。
舞原:はいはいはいはい。
ヤマサキ:背景のカメラ位置から何から全部描き直すことになるんで、それはちょっと物理的に難しいので。そうするともうその子の部分だけを描き直すみたいなことは、まあやらされてますよねえ。
井坂:いやでも、ヤマサキさんのそのパンツが見えるっていうの、別に猥褻ってことではない......。
ヤマサキ:いえ、全然もう。別に健康的な女の子で、別にそれでねえ、幼女になんかするとかそんなの全然ないですよ。ただ単に普通に遊んでてパンツがちょっとミニスカートだから見えちゃったっていうことに対して非常に過敏に反応される。そのプロデューサーが。だから同じ局でもプロデューサーが違うとOKだったりする。
舞原:パンチラ売りのアニメもあるじゃないですか。
ヤマサキ:ありますねえ。だからそういう物と一緒に、自分のやってる物をそういうふうに見られたくないとかっていうのが、まあプロデューサー側にあったりする。
内藤:だって『ナウシカ』なんかね、逆にパンツが見えないからあれはノーパンじゃないかっていうね(笑)
一同:(笑)
ヤマサキ:ありますよね(笑)
井坂:いや、確かに宮崎アニメって不思議ですよね。
内藤:宮崎さんは狙って、明らかに狙ってますもんね。
ヤマサキ:そうですね。
井坂:もう、本当にそういうところではね、見えそうで見えないという、なんかね。
ヤマサキ:でも、まあね。日本のポルノもきっとそうでしょうけど、あの見えない感じが逆に言うと色んな想像を掻き立てて逆にエロっぽくしてる気はしますけどね(笑)
内藤:だって今ね、アメリカでロマンポルノとピンクが売れてるって。
舞原:へえ。
内藤:で、昨日mixi見てたら、アメリカで「日本ピンク映画史」っていう研究本が出たって。
一同:へえー。
内藤:英語で。ものすごい詳しい、スタッフなんかもかなり綿密についてるっていう。
井坂:まあ、ある意味、逆に制限があった分表現に工夫したっていうのもね。
内藤:やっぱりアメリカなんかポルノってイコールそのものずばりになっちゃったから、もう見飽きちゃったと。やってるだけだから。日本のはストーリーがあって、技術的にはもうね、しっかりしてるし、そこに見えそうで見えないっていう部分があって。
ヤマサキ:(笑)
内藤:すごく今評判がいいって。
井坂:それがかえって想像させると。
ヤマサキ:まあそうですよね。なんか映像に映ってない物の方が想像させる部分ってあるから。ぎりぎりのとこで寸止めされる感じってなんか(笑)ずっとフラストレーションが溜まっていくんだよね(笑)
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