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「映画監督って何だ!」という映画 佐藤 忠男

「映画監督って何だ!」という映画

佐藤 忠男(映画評論家)


伊藤俊也脚本・監督の「映画監督って何だ!」は、「監督は映画の著作権者である」という日本映画監督協会の主張を広く知ってもらうために作られた映画である。
 そんなことは自明のことのように思えるのだが、実は現行の著作権法では、映画の著作権者はその作品に出資した製作者であるということになっていて、監督は著作権者になっていない。なぜそういうことになっているのかということには長いいきさつがあり、自明のようなことが、いつ、どこで、誰によって、どう、妙な理屈をつけられてねじ曲げられ否定されて今日に至っているのかということを、いちいち検証してみなければならない。
 ということで、コント、再現ドラマ、ドキュメンタリー、インタビューなど、映画のさまざまな手を使ってそのいきさつを説明しているのがこの映画である。私など、ある程度専門的にこの問題を調べたことのある者でも、あ、あの人があのとき、そんなことを言ったのか、と教えられることが多くて興味深いものである。
 しかし、それだけではない。映画は監督が作るのだという、その自明とも思えることが、実は正確に証明しようとすると必ずしもそう簡単なことではない。だからこそ、製作者本位の一方的な主張がつけ込んでくる余地もある。映画監督の創造性というのはどこでどう働くのか。それを検証することに工夫をこらしている所がこの映画の面白い所である。それに成功して、この映画が日本映画監督協会の製作による単なるプロパガンダの手段ではなく、それ以上に映画として自立して伊藤俊也監督作品としての創造性を鮮明に示すところまでゆかないと、プロパガンダとしての力も十分には発揮できないという難しいところに監督は自分で自分を追い込んでいる。そこが一番面白いし、見所である。この映画は後半、特にラストに近いあたりにそういう切迫した呼吸が立ち込めてきて見応えがあった。
 この映画はまた、日本映画監督協会の創立70周年の記念イベントでもあって、監督協会の会員が総出演している。いちいちその名前が示されるわけではないが、日本映画を愛する者にとっては壮観と言うよりない。