このページの先頭です


特集

日本映画監督協会 会員名鑑

エッセー

第5回 『映画青年/少女』

立川志らく 「映画少年」  

立川志らくb.jpg最初のビッグスクリーンで観た洋画は「猿の惑星」。小学校の低学年の頃だった。驚いた。リアルな猿だらけ。
この経験がひとつのトラウマになって、それ以降、暫くの間洋画を観るとどこかに猿が出てくるのではないかと恐怖に慄いた。

 映画にはまったきっかけはチャップリン。中学生の頃、友達に誘われてたまたま出かけた渋谷の名画座。作品はチャップリンの「サーカス」。それまでチャップリンが何者であるのかも知らなかった。どうやら喋らないらしいという知識ぐらい。きっと無口な人なんだろうと想像していた。驚いた。面白すぎ。死ぬほど笑った。まわりの大人達もひっくり返って笑っていた。

 これをきっかけに東京近郊で上映されたチャップリンのほとんどの作品を中学生の間に観まくった。その数約50本。日劇でおこなわれたビバ・チャップリン祭りも当然観た。

 私のお気に入りは「街の灯」「ライムライト」「サーカス」。好事家が嫌うチャップリンのペーソスの部分がとっても好きだった。 チャップリンと時期がだぶっているのだが、「ゴッドファーザー」にもかぶれた。アル・パチーノに心底惚れた。当時は家にビデオなんかなかったから、「ゴッドファーザー」も名画座にしょっちゅう観に行った。二年間の間に15回は観ている。多分、コッポラよりも細かいカットを覚えている。マルセ太郎よりも感情を込めてリアルに語れる。

 高校生になって学業が忙しくて映画を観なくなった(本当かね)。しかし大学生になってまた再開。今度はビリー・ワイルダーを中心に古いハリウッド映画にはまる。フランク・キャプラ、ウイリアム・ワイラー、などなど。

 落語家になってからは師匠の談志の影響でミュージカルを観るようになった。「雨に唄えば」「ショーボート」がお気に入り。

 自身で映画を撮影するようになったのは三十路を超えてから。その頃は小津一辺倒。学生の頃は屁とも思わなかった小津映画の虜になってしまった。小津が面白くてしょうがない。人生経験を積んだから小津に目覚めたのだろうか?なんだかわからない。小津映画はチャップリンと同じぐらい面白い。オースティンパワーズの1兆倍面白い。佐分利信がアル・パチーノと同じぐらいカッコ良く見える。

 最近は「男はつらいよ」に夢中。48作のマドンナ、タイトル、ゲスト役者、見所、欠点全て言える。

 ああ、これから先、どんな映画に夢中になるだろうか?


立川志らく(たてかわ しらく)


63・8・16生東京都

85日本大学芸術学部卒業前に立川談志に入門。


95真打ち昇進。


(V)97「異常暮色」で監督・脚本・音楽・主演。

(DV)99「死神パラダイス」で再度、監・脚・音楽・主演。01「カメレオンの如き君なりき」(インターネット映画)監・脚・音楽・撮影。

02「SF小町」監・脚・音楽。(賞)96・99キネマ旬報ベスト10読者賞受賞。(シネマ徒然草)。