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特集

日本映画監督協会 会員名鑑

エッセー

第7回 『私のデビュー作 パート2』

森田芳光  監督「の・ようなもの」デビュー   

森田芳光.jpg 今考えても恐ろしいくらい僕はドシロウトだった。8ミリの経験こそあったが、35ミリなんてもちろん初めて、俳優のギャラ交渉から、お茶くみまで経験してしまった。
一番もどかしかったのが、カメラや照明のセッティングである。8ミリだと自分ひとりで全てやるので、撮りたいものがあったら、即、撮影できる、、、そのクセがついていたものだから、カメラマンに「あの風景、あの人物、、、今、あれを撮りたいんだ」と急にとんでもないことを言ってしまう。スクリプターに「つながりが間違っています」と言われてもその意味がわからない。録音技師からは、本来、音がしているものを、そこで録らず「ダビングのときに、効果音つけますから」と言われ、そんなものかと納得したり、よく一本の映画が出来たものだと思う。「の・ようなもの」はラストのビアガーデンで終わるのだが、パーティが終わり、三々五々、落語家たちが帰る風景があんまりよかったので、本来、カットするところを「そのまま回してくれ」とカメラマンに大声を上げて、ビアガーデンに誰もいなくなるまで撮ってしまった。そんなアドリブで監督したラストシーン。今でも恐ろしすぎるエピソードである。



森田芳光(もりた よしみつ)


1950年1月25日生  東京都出身

81「の・ようなもの」で劇場映画デビュー。ヨコハマ映画祭:作品賞・新人監督賞 。83「家族ゲーム」報知映画賞:最優秀作品賞、キネマ旬報:日本映画作品賞・監督賞・脚本賞 他。85「それから」報知映画賞:最優秀作品賞・最優秀監督賞、キネマ旬報:日本映画作品賞・監督賞、日本アカデミー賞:優秀作品賞・監督賞 他。96「(ハル)」報知映画賞:最優秀監督賞、ヨコハマ映画祭:脚本賞 他。97「失楽園」日本映画批評家大賞:映像美賞、日本アカデミー賞:優秀監督賞。99「39刑法三十九条」ヨコハマ映画祭:作品賞・監督賞、毎日映画コンクール:日本映画優秀賞・監督賞。99「黒い家」ヨコハマ映画祭:監督賞。03「阿修羅のごとく」日刊スポーツ映画大賞:作品賞、ブルーリボン賞:監督賞、日本アカデミー賞:最優秀監督賞。04年11月13日「海猫」全国ロードショー。