
阪本順治(時代劇パートのおいらん 脚本太夫役) 「虚像の裏のもう一つの虚像」
これはお遊びではないんだと思うと眼を逸らす訳にもいかず、冗談ではなく凍り付いた。どう自問自答していいのかわからぬまま、鏡と向き合い、カメラと向き合った。俳優の気持ちが少しは分かったなどと感想を述べる余裕もなく、多分、何かが壊れたまま、現場にいたような気がする。恥ずかしいだけなら、自分の監督作品のほうが恥をかいている。強いて言うならば、この自分の真面目さに腹が立っていた。後悔ではなく、理解していたはずの左脳が狂気に陥って、混乱した右脳が痛がっている、そんな感じ。朝、自分の花魁姿を鏡の中に認めてから、ずっと正気ではありませんでした。![]()
阪本 順治(さかもと じゅんじ)
1958年10月1日生 大阪府堺市出身。 幼少時より映画に親しむ。
横浜国立大学中退。在学中より映画の撮影現場のスタッフとして参加。 1989年『どついたるねん』で監督デビュー映画賞各賞を総なめにし、一躍脚光を浴びる。
主な作品は、『顔』('00年)、『新・仁義なき戦い。』('00年)、『KT』('02年)、『ぼくんち』('03年)、『この世の外へ/クラブ進駐軍』('04年)、『亡国のイージス』('05年)などがある。
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