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特集

日本映画監督協会 会員名鑑

エッセー

第13回 エッセー『出る・撮る』

福島拓哉 「このエッセーで仕事が増えるかあるいは減るか」

福島拓哉.jpg俳優になろうと思ったことは一度もないが、映画監督になりたくて大学映研で8ミリ映画を作っていたら、自然とサークル仲間の8ミリ映画の出演が続いた。よくある話だ。
その流れで、人の映画にも自分の映画にも出た。今でも自分のに出るときはいろいろ言い訳してごまかすが、実はほとんどの場合がスケジュール調整が楽になるのが魅力だったりする。
そんな程度にしか演じることに興味がなかったにも関わらず、今までにかなりの数の作品に参加させてもらった。当たり前かもしれないけど、監督作よりも出演作のほうが多い。監督作は、劇場公開長編から5分くらいの短編まで全部含めて、僕が自分で「作品」とカウントしているのが40本弱。となると出演作はそれ以上の数になる。プロの俳優さんからしたら少ないと思うが、本業が監督のわりにはたぶん多いほうだと思う。ていうか出すぎだ俺。
俳優をやるときに一番楽しいのは、人の現場に行けることだ。助監督は別だが、監督になってしまうとどうしても自分の現場しか行かなくなる。だから人の現場をあまり見る機会がない。ちょっと覗きに行くくらい。それが、俳優という立場でいろんな監督の現場に入り込めて演出までしてもらえるのだから、そもそも映画青年だった僕にとってはすごく魅力的だ。その刺激が欲しくて名刺に俳優の肩書きを入れているといっても過言ではない。
ここ最近で一番刺激的だったのは、若松孝二さんの超大作『実録・連合赤軍』に出演させていただいたこと。いろいろな伝説を聞いていた若松組に参加できて本当に嬉しかった。実際、伝説の一つである早撮りも経験できた。そもそも1シーンの出演だったがあまりにも早撮りなので1時間弱で終わってしまった。セリフもアクションもあったしエキストラさんもいっぱいいたのに。早い。さすがだ。感動した。
いろいろ書いたが結局のところたぶん僕はただの出たがりなのだが、最近では若い役者さんたちの演技レッスン講師の仕事なども来るようになってしまった。そもそも演技の勉強などしたこともないので、そういった授業ではいつも自分が培ってきたことしか言わない。それは監督として演出する上でも、俳優として演技する上でも、一番大事なこと。逆にそれさえあれば、大抵の仕事は何とでもなる気がする。ていうか何とかなった。と思う。
僕が培ってきたこと。
想像力。


福島 拓哉

72・9・19生 埼玉県 http://www.p-kraft.com/
96名古屋大学文学部卒。
石井聰亙監督に師事した後、クリエイター集団P-kraftを結成し自主製作で多岐に渡り活動。国内外映画祭での受賞を経て01『PRISM』で劇場用長編初監督。俳優・文筆家としても活動中。主な作品(映)01『PRISM』03『自由』05『クロス・ザ・レンズ』 07『over8』