
貞永方久 「時効不成立」
原作は短いほうが、いい。 書きごたえ がある。
監督は 山根成之。 享年55歳 若すぎる。才能豊かな、
いい男だった。もったいない、惜しい。 哀悼 合掌。
彼への想いだけで、この稿を埋めることもできるけれど、
そうもいくまい。
ひとの想いに 時効はない。時効は 成立しない。
「時効」という言葉、文字から浮かんできたのは、井上陽水の
「二色の独楽」と、「ゼンマイ仕掛けのカブト虫」の二曲だった。
なぜだか、しらない。わからない。
独楽は、いつか、必ず止まり、愛は、終わる。
ゼンマイ仕掛けのカブト虫は、こわれ、青い鳥を、逃がす。
そんなイメージが、たぶん、「時効」と結びついたのだろう。
〔時効〕ある一定の期間を経過することによって、権利を取得・
消滅させたり、刑罰権を消滅させる制度。〈新潮国語辞典〉
「夫の時効」 探したが、原作、脚本(決定稿)ともに、見つ
からない。第一稿が、出てきた。 「女と男の時効」。
書き直しは、なかったから、改題されただけだろう。
(1985.7.1。脱稿。9.10。放映。)
ひとことで言うと、時効成立の直後に、自分をだまし続けていた
愛人を、殺してしまう男のはなしである。
時効になる直前のサスペンスを狙う話が多いなかで、なかなか
の原作。
妻と娘への愛。愛人との確執。妻をしたう青年・・・。
短編なので、いろいろ普段から考えていたことを、加えてみた。
ま、なにを付け加えたかは、原作と脚本を、読み比べていただ
くしかない。 が、いまさら、どうでもいいことだ。ただ・・・
"罪と罰のあいだに 鬼がいる" 鬼平の名コピーを借りれば
"罪と罰のあいだに 女がいる" ということで あろうか。
女と男の あいだに 時効は ない。
時効は不成立、というのが、この脚本の テーマである。
たぶん、いつでも、どんな世の中になっても。
ここで、この稿を終えてもいいような気がしますが、書きはじめる
前は、別のことを、考えていたのです。
〔短期消滅時効〕 民法170~173条。
3年~2年で、貸しはパーになります。詳しくはありませんが・・・
どうぞ、気をつけてください。だまされないで。 ということです。
借りるのは・・・アズ ユー ライキット。信用を、失わないように。
わたくしは、一切 関知しません。
古いボロボロの小六法を手に、書きながしました。
探し物をすると、なぜ見つからないのでしょう。でも、ひとつ
ありました。
「映画監督 山根成之 メモリアル」・・・。
今宵は、これを読み返しながら、酒好きだった彼を 偲びます。
「時 ひとを 待たず。 酒 ひとを 待つ。」
'04・5・15
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貞永方久(さだなが まさひさ)
31・9・22生 旧満州(金州)-松竹
作品:「ジョン万次郎」「坊っちゃん」「黒の斜面」「嫉妬」 「流れの譜」「風の息」「球形の荒野」「童貞」「夜が崩れた」 「海嶺」「必殺・春雪仕掛針」「良寛」 など。
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