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特集

日本映画監督協会 会員名鑑

創立80周年・80th Anniversary

2016年04月01日

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ご報告~花やしき座 実演雑記

2月27~28日の監督協会創立80周年記念イベント、日本映画監督協会劇場」は、皆様から大好評をいただきました。
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ご一緒に映画を見ること、
すぐあと、ご一緒に映画のゆかりの方とお話すること、
またその余韻の中で歌やアクションをご一緒に見ることの楽しさと喜びは、いろんな幸せの中でも、とくに代えがたいものと再確認できました。


重ねて御礼申し上げます。
まことにありがとうございます。


画像は上映会当日の浅草5656会館前。
そして花やしきでの高瀬道場のみなさんの熱演。

続いて、高瀬嗣監督による、
花やしき座 実演雑記」です。
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花やしき座 実演雑記       高瀬 将嗣

今回の八十周年事業は映画興行のメッカだった浅草で開催、花やしきの舞台を借り切って無声映画を上映したのはご存じの通りで、まず林海象監督の「夢みるように眠りたい」に続いて時代劇「目玉の松ちゃん」こと尾上松之助、その次が「バンツマ」阪東妻三郎であります。
好事家にはたまらない番組ですが、私たち高瀬道場は時代劇作品の幕間に殺陣の解説と実演をせよというご依頼を頂きました。
たとえればこれは「美空ひばりと都はるみ・夢のリサイタル」の幕間で一曲歌うのと同じこと。

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よくよく考えれば身の程知らずの企画をお受けしたと思いましたが、後悔先に立たずとはこのことでありました。
実は私事この正月の松開けから、乾いた雑巾を搾ってバケツをいっぱいにするごとくの、過酷きわまりない条件の監督作が入っていたのです。
それを踏まえ実演の稽古は年末から土日に実施して撮影中はいったん休止、撮了後の一月末からは週四日のペースで手順を組み立て本番に備えました。
会場の都合から舞台検分が延び延びとなっていたのですが、足を運んでタマげたのは、なんと舞台上のド真ん中に柱が立っているではありませんか!?
ここでチャンバラをするのは、開かずの踏切の隣で1ページの長台詞をオンリー録りするぐらいタイヘンなことです。

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頭を抱えていてもしょうがないので、稽古場である道場の真ん中に柱代わりの脚立を常設、それにあわせてイチから手順も組み直しました。 正直に申し上げてライブである実演は、失敗してもNGでやり直しというわけにはいかず、基本的には全編ワンカットですから、撮影とは違ったプレッシャーを余儀なくされます。 とくにチャンバラでいちばん怖いのは刀=竹光が折れること。 不思議なことに刀身の中程からポキッといくことはまずなく、なぜか鍔元(正確にはハバキと呼ばれる金具の部分)から折れるのですね。 もしも折れた刀が客席に飛んでいってお客様にケガでもさせたらと思うと、胃がキリキリ痛むのは否めません。 ですから本番前日は、出演者全員が刀の目釘を外して刀身を確認します。

 
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通常は竹光でおこなう殺陣ですが、私たちはあくまでも「本物の刀」を表現することを忘れないために、真剣の操作稽古も並行しています。
この日の演目も、まず真剣の切れ味を検証する試し斬りをおこない、そしてその刀で安全な立ち回りを展開するのですが、実はここだけのハナシ、刀の刃が研いであるのは中程のみで切っ先三寸(いちばん斬れる部分で、物打ち所といいます)は潰してあるのですね。
以降は竹光に戻って女子部の組手、松之助からバンツマへの殺陣の解説、そしてラストは新選組の池田屋事件をモチーフとした寸劇をご披露いたしました。
刀が折れて飛ぶことも舞台中央の柱によるアクシデントもなく、なんとかお客様から拍手を頂戴できて、とりあえずは傑作無声映画の幕間を埋められたと安堵した次第です。
ひとつ付け加えれば、その日弁士を務めた坂本頼光さんは、数年前に物故した私の同級生の息子さんだったのでした。
その奇遇と、拙いアトラクションを勤めさせていただいた八十周年に感謝する次第です。